離婚協議書と公正証書、どっちで作る?2026年改正後の選び方と費用

結論から言うと、養育費だけなら離婚協議書(合意書)でも差押えができるようになりました(2026年4月の民法改正、子1人月8万円まで)。一方、財産分与・慰謝料・解決金の分割払いや、月8万円を超える養育費を確実に回収したいなら、今も公正証書が必要です。
離婚協議書と公正証書の違い【比較表】
| 項目 | 離婚協議書(合意書) | 公正証書 |
|---|---|---|
| 作る人 | 夫婦で作成(行政書士に依頼も可) | 公証役場で公証人が作成 |
| 養育費の差押え | 子1人月8万円まで可(2026年4月から。書き方の条件あり) | 取り決めた全額が可(強制執行を受け入れる文言が必要) |
| 財産分与・慰謝料の差押え | 不可(裁判などが別に必要) | 可(強制執行を受け入れる文言が必要) |
| 費用 | 自作なら0円 | 公証人手数料(法定)がかかる |
| 作成までの期間 | 合意できればすぐ | 公証役場との調整で数週間程度 |
| 原本の保管 | 各自で保管(紛失のおそれ) | 原本は公証役場で保管 |
| 相手の協力 | 署名・押印が必要 | 公証役場での手続きへの協力が必要 |
※表は横にスクロールできます
2026年4月から、選び方が変わりました
これまでは「差押えまで考えるなら公正証書」が定番でした。2026年4月1日の民法改正で、養育費には先取特権という優先権が付き、取り決めを書いた合意書があれば、公正証書がなくても差押えを申し立てられるようになりました。
ただし守られるのは子1人あたり月8万円までで、記載に不備があると使えません。合意書の条件は、次の記事で詳しく解説しています。
2026年4月 法改正 養育費は合意書で差押えできる?2026年改正の条件と埼玉9市の補助金 差押えに使える合意書の条件、よくある書き方の失敗、公正証書の補助金をまとめています。 記事を読む →どちらを選ぶ?ケース別の目安
| あなたの状況 | おすすめ |
|---|---|
| 取り決めるのは養育費だけで、子1人月8万円以下 | 離婚協議書(合意書)でも可。費用を抑えたい方向き |
| 養育費が子1人月8万円を超える | 公正証書。超える分は合意書では差押えできない |
| 財産分与・慰謝料・解決金を分割で受け取る | 公正証書。合意書では差押えできない |
| 相手が過去に約束を守らなかった | 公正証書。原本が公証役場に残り、強制執行の手続きも進めやすい |
| 財産の分け方だけを決め、離婚時に一括で精算する | 離婚協議書で足りることが多い |
| 金額や条件でまだ揉めている | どちらも作れる段階ではない。弁護士にご相談を |
迷ったら、まず合意書を作り、必要な部分だけ公正証書にする方法もあります。合意書の内容は、そのまま公正証書の原案になります。
費用の比較
| 作り方 | 実費 | 当事務所に依頼する場合の報酬(税込・定額) |
|---|---|---|
| 離婚協議書を自分で作る | ほぼ0円 | なし |
| 離婚協議書(合意書)を依頼 | ほぼ0円 | 22,000円 |
| 公正証書を作る(合意書作成+公正証書サポートのセット) | 公証人手数料など | 33,000円 |
| 市の補助金の申請も依頼 | なし | 上記に加えて 11,000円 |
公証人手数料は、取り決める金額によって法律で決まっています。2025年10月の改定で、養育費の部分は5年分の金額が上限として計算されるようになりました。正確な額は、公証役場で事前に確認できます。
ひとり親の方は、住んでいる市によって公正証書の作成費用(実費)に補助があります。埼玉県内では、さいたま市・川口市など少なくとも9市が上限43,000〜50,000円で補助しています。行政書士の報酬は、補助の対象になりません。
作るまでの流れ
離婚協議書(合意書)の場合
- 夫婦で、養育費・面会交流・財産分与などの内容を話し合って決める
- 決めた内容を書面にする(子ごとの金額、支払期間、支払日を具体的に)
- 2通作り、双方が自署・押印して1通ずつ保管する
公正証書の場合
- 夫婦で内容を話し合って決める
- 合意した内容をもとに原案を作り、公証役場に予約・事前相談をする
- 公証役場から届く文案を、双方で確認する
- 公証役場で内容の読み合わせをして、署名する
- 正本・謄本を受け取る(ひとり親の方は、市の補助金をこのあと申請)
2025年10月から、公正証書は条件を満たせばウェブ会議で作れるようになりました(パソコンと電子サイン用の機器が必要で、公証人が相当と認めた場合に限られます)。離婚の公正証書で利用できるかは、公証役場にご確認ください。
当事務所でできること・できないこと
| できること | できないこと |
|---|---|
| 双方が合意済みの内容を、離婚協議書(合意書)にする | 金額や条件で揉めている場合の交渉 |
| 公正証書の原案作成と、公証役場との事前調整 | 相手方への連絡・交渉の代行 |
| 市の補助金の交付申請書の作成と、窓口への提出代行 | 家庭裁判所に出す書類の作成 |
| 支払いが滞ったときの督促の内容証明(ご本人名義) | 差押えの申立て |
離婚協議書・公正証書・補助金申請のご相談
離婚協議書(合意書)の作成は 22,000円、公正証書サポートつきは 33,000円です(いずれも税込・定額)。どちらで作るべきかのご相談からお受けします(料金・依頼メニュー)。
よくある質問
- 離婚協議書を作った後から、公正証書にできますか
- できます。夫婦双方が合意していれば、離婚後でも作れます。作った離婚協議書は、そのまま公正証書の原案として使えます。
- 離婚協議書だけで、慰謝料や財産分与の差押えはできますか
- できません。合意書だけで差押えができるのは、2026年4月から養育費(子1人月8万円まで)に限られます。慰謝料や財産分与を分割で受け取る場合は、公正証書にしておくことをおすすめします。
- 2026年3月以前に作った離婚協議書はどうなりますか
- 2026年4月1日以降に発生する養育費の分には、先取特権が使えます。それより前の未払い分は対象外です。書面が必要な記載を満たしているかの確認も必要です。
- 公正証書は、夫婦2人で公証役場に行く必要がありますか
- 原則は双方の出頭です。事情によっては代理人による手続きや、ウェブ会議での作成が認められる場合がありますが、いずれも公証役場の判断になるため、事前にご確認ください。
- 行政書士に頼めば、相手との話し合いもしてもらえますか
- できません。行政書士は、夫婦が合意した内容を書面にする仕事です。話し合いや交渉が必要な場合は、弁護士にご相談ください。
参考:政府広報オンライン(民法改正)/法務省(養育費の先取特権の上限額)/法務省(施行期日と経過措置)/新日本法規(公証人手数料令の改正)。個別の事情によって結論が変わることがあります。


