「お金を貸した相手と連絡がつかない。LINEを送っても既読にならない…」
「浮気相手に問い詰めたら、LINEのトーク履歴を消されたかもしれない…」
金銭トラブル、不倫慰謝料、ハラスメント問題などにおいて、今や最も重要な証拠となるのが「LINEのトーク履歴」です。しかし、トラブルになった相手は、証拠隠滅のためにブロックやアカウント削除といった強硬手段に出てくることがよくあります。
「ブロックされたら、もう証拠は取れないの?」「トークを消されたら諦めるしかない?」と絶望するのはまだ早いです。
実は、LINE上で相手と遮断されても、法的手段(内容証明郵便や裁判)に必要な証拠を確保するルートは残されています。
本記事では、LINEブロック・削除・送信取消といった状況別の正しい対処法と、証拠能力を失わないための緊急保全テクニック、そしてどのタイミングで「内容証明郵便」を送るべきかについて、徹底的に解説します。
状況整理:「ブロック」と「削除」では意味が全く違う
まず、今のあなたの状況が「手遅れ」なのか「まだ大丈夫」なのかを判断するために、LINEの仕様上の違いを明確に理解しましょう。相手が取った行動によって、こちらの対応策は変わります。
1. 相手に「ブロック」された場合
結論:証拠保全は可能です。全く手遅れではありません。
ブロックとは、相手があなたからのメッセージを拒否する機能です。ブロックされても、あなたのスマホに残っている「過去のトーク履歴」は消えません。相手とのトークルームを開けば、これまでのやり取りはそのまま残っているはずです。
ただし、今後新しいメッセージを送っても「既読」がつかなくなるだけです。この「過去の履歴」さえ残っていれば、裁判や内容証明の証拠として十分機能します。
2. メッセージを「送信取消」された場合
結論:急いで対応が必要です。
相手が特定のメッセージを長押しして「送信取消」を行うと、あなたの画面からもメッセージが消え、「メッセージの送信が取り消されました」という表示に変わります。これが実行されると、内容の復元は困難です。
しかし、相手が送信取消できるのは「送信から24時間以内」に限られます。24時間を過ぎたメッセージは消せません。
3. トーク履歴ごと「削除」された場合
結論:あなたのスマホには残っています。
相手が自分のスマホで「トーク履歴をすべて削除」したり、「削除(自分の端末のみ)」を選んでも、消えるのは相手のスマホの中だけです。あなたのスマホにあるトーク履歴には何の影響もありません。
逆に、あなたが誤って削除してしまった場合は、バックアップがない限り復元は困難になります。
4. 相手が「アカウント削除(退会)」した場合
結論:証拠としては残りますが、人物特定が急務です。
相手がLINEアカウント自体を削除すると、名前が「メンバーがいません」や「Unknown」に変わり、アイコンもデフォルトに戻ります。
トーク履歴自体は残りますが、「どこの誰との会話か」が証明しにくくなります。この状態になる前に、相手のプロフィール画面などを保存しておく必要があります。
緊急!「証拠が消える前」に行うべき保全テクニック
相手がブロックしてきたということは、「逃げる準備」に入った合図です。ここからは時間との勝負です。スマホの故障や誤操作でデータが飛ぶ前に、以下の手順で証拠を確定させてください。
静止画(スクショ)と動画の「2段構え」保存
「スクリーンショット(スクショ)は撮ってあるから大丈夫」と思っていませんか?実は、静止画だけでは裁判で「画像加工ソフトで偽造したものではないか」と疑われるリスクがあります。
最強の証拠保全:スクロール動画
別のスマホやカメラを用意し、LINEの画面を指でスクロールさせている様子を動画で撮影します。
- アプリの起動から撮る:ホーム画面からLINEアイコンをタップし、トークルームを開くところから撮影すると、本物のアプリであることが証明できます。
- プロフィール画面も映す:トーク相手のアイコンをタップし、名前やIDが表示されるプロフィール画面も必ず撮影します。
- ゆっくりスクロール:文字が読める速度で、過去の履歴から最新までを映します。
この動画があれば、後で相手が「そんなLINEは送っていない、お前が画像を捏造したんだ」と主張してきても、完全に論破できます。
テキストデータの一括バックアップ
LINEにはトーク履歴をテキストファイルとして保存する機能があります。
手順:トークルーム右上の「≡」 > 設定(歯車) > 「トーク履歴を送信」
これで日時と内容が記されたテキストデータが生成されます。これを自分宛てのメールやGoogleドライブ等に保存しておきましょう。内容証明郵便を作成する際の「書き起こし」作業にも役立ちます。
PC版LINEの活用(スマホ紛失リスク対策)
もしPC(パソコン)を持っているなら、PC版LINEをインストールしてログインしてください。スマホが故障したり紛失したりしても、PC側に履歴が残っていれば証拠として使えます。
※ただし、初回ログイン時にスマホ側での認証が必要なため、相手にブロックされる前(またはアカウント削除前)に行う必要があります。
「既読がつかない」今こそ、内容証明郵便を送るべき理由
LINEブロックされた状態で、「返信してよ!」「電話に出て!」と他のSNSでしつこく連絡するのは得策ではありません。ストーカー扱いされたり、警察に相談されたりして、逆にあなたが不利になる可能性があるからです。
LINEでの連絡が絶たれた時こそ、デジタルの世界からアナログの最強ツール「内容証明郵便」へと切り替えるベストタイミングです。
なぜブロックされた相手に内容証明が効くのか?
ブロックするという行為は、相手にとって「心理的な安全地帯」に逃げ込んだ状態です。「これで文句も言われないし、無視していれば諦めるだろう」と高を括っています。
そこに、郵便局員からの手渡しで、厳格な書式の「内容証明郵便」が届くとどうなるでしょうか。
- 現実世界への侵入:スマホの中だけで完結していたトラブルが、自宅や実家に「書面」として届くことで、事の重大さを強制的に認識させられます。
- 法的措置の予感:「弁護士が出てくるかもしれない」「裁判になるかもしれない」という恐怖心を与えます。
- 言い逃れ不能:「LINEを見ていない」という言い訳は通用しますが、内容証明(特に配達証明付き)は「受け取った=読んだ」という法的効果が生じます。
内容証明を送るべき具体的なタイミング
「いつ送るか?」の正解は、「LINEでの交渉が決裂した(ブロックされた、無視された)直後」です。
時間を置けば置くほど、相手は引っ越したり、財産を隠したり、記憶が薄れたりします。ブロックされたと分かった時点で、証拠保全を行い、即座に内容証明の作成に着手すべきです。
相手の住所がわからない場合の対処法
LINEしか知らず、相手の住所も本名も曖昧…というケースが近年急増しています。内容証明を送るには「住所」と「氏名」が必須です。この壁をどう突破するか解説します。
1. 携帯電話番号を知っている場合
電話番号さえわかれば、弁護士に依頼して「弁護士会照会(23条照会)」を行うことで、携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク等)から契約者の住所と氏名を合法的に調査できる可能性があります。
※これには弁護士費用がかかりますが、回収額が大きい場合は検討すべき有力な手段です。
2. 住所の一部や勤務先を知っている場合
「だいたいの場所は聞いたことがある」「勤務先の名刺は持っている」という場合、そこへ内容証明を送ることも可能です。
勤務先に送る場合は、「親展(本人以外開封厳禁)」にするなどの配慮が必要ですが、相手にとっては「会社にバレる」ことが最大の圧力になるため、支払いに応じる可能性が高まります(※名誉毀損にならないよう、封筒には個人名のみ記載する等の注意が必要です)。
3. LINEしか知らない場合(調査が必要)
電話番号も住所も知らず、LINEのみで繋がっていた場合、個人での特定は非常に困難です。探偵事務所などに依頼して、ネット上の情報(SNSの特定など)や聞き込みから住所を割り出す調査が必要になります。
費用対効果を考え、請求額が少額(数万円程度)であれば、諦めるか、SNSのDMなどで最後通告を送る程度に留める判断も必要かもしれません。
「アカウント削除」された後の証拠能力と戦い方
最悪のケースとして、相手が「LINEアカウントを削除」して逃亡した場合の対処法です。
「Unknown」とのトーク履歴は使えるか?
相手が退会すると、トーク画面の名前が「Unknown」や「メンバーがいません」になります。こうなると、「この会話の相手が、請求したいAさんである」ことを証明するハードルが上がります。
この場合、以下の「補強証拠」を組み合わせることで戦います。
- 前後の文脈:会話の中で「俺、山田だけど」「〇〇大学の同期の~」といった、本人しか知り得ない情報が出ている箇所を探す。
- アイコン画像:相手が自分の顔写真をアイコンにしていた場合、そのスクショが残っていれば有力な証拠になります。
- 他のSNSとの紐付け:「LINE交換しよう」とやり取りしたマッチングアプリやTwitter(X)のDM履歴があれば、それとLINEの開始時刻を照らし合わせて同一人物だと主張します。
- 金銭授受の記録:銀行振込の明細(相手の本名が載っている)と、LINEでの「今振り込んだよ」「ありがとう」の日時が一致していれば、LINEの相手=振込先の名義人と特定できます。
よくある質問(Q&A)
LINEの内容を証拠として使いたい場合は、トーク履歴を「日時・送信者・内容」の形式で文字に書き起こす(反訳する)必要があります。画像自体を見せたい場合は、内容証明とは別の封筒で資料として同封するか、「参照資料として別送する」と記載して送る方法があります。
まとめ:ブロックは「終わりの合図」ではなく「反撃の合図」
LINEをブロックされたり、履歴を消されたりすると、多くの人は「もう連絡が取れない、証拠もない、諦めるしかない」とパニックになります。しかし、それは相手の思う壺です。
- ブロックされても、あなたの手元の「過去の履歴」は消えない。
- 動画撮影やPCバックアップで、今すぐ証拠を固める。
- LINEが繋がらないなら、内容証明郵便という「物理的な通知」に切り替える。
- 住所がわからなくても、電話番号などから調査できる可能性がある。
ブロックされた瞬間こそが、個人間のやり取りから法的な解決へとステージを移すべきタイミングです。
「この証拠で戦えるのか?」「内容証明に何を書けばいいのか?」と不安な場合は、証拠が消えてしまう前に行政書士や弁護士などの専門家に相談し、適切な保全措置と文書作成を依頼することをお勧めします。泣き寝入りせず、正当な権利を主張しましょう。

