【雛形あり】残業代請求は内容証明が必須!書き方・計算方法と時効を止めるプロの手順

「毎日遅くまで残業していたのに、残業代が1円も支払われていない」
「『うちは固定残業代込みだから』と言いくるめられて、長時間労働を強いられた」
「退職したけれど、やっぱり働いた分の給料はきっちり払ってほしい」
会社のために汗水垂らして働いた時間が、正当に評価されず、タダ働き(サービス残業)として処理されている……。
これは明白な法律違反であり、あなたには過去にさかのぼって「未払い残業代」を請求する権利があります。
しかし、口頭で「残業代を払ってください」と言っても、会社側は「何を今さら」「計算間違いだ」と適当にあしらうことがほとんどです。
そこで必要になるのが、法的効力の強い「内容証明郵便」による請求です。
内容証明郵便を送ることは、単なる請求ではありません。
「時効をストップさせる」そして「会社に覚悟を決めさせる」ための、最強の初手なのです。
この記事では、労働問題の実務に詳しい行政書士が、残業代請求における内容証明の重要性と、コピーして使えるテンプレート、そして失敗しないための計算のポイントを徹底解説します。
残業代計算はプロにお任せ。
正確な計算と法的な文章で、会社に支払いを認めさせましょう。
なぜ、残業代請求に「内容証明」を使うのか?
「メールやLINE、あるいは普通のハガキで請求してはいけないの?」
そう思う方もいるかもしれません。もちろん、請求自体はどのような形でも可能です。
しかし、実務上、残業代請求の第一歩は「内容証明郵便」一択と言っても過言ではありません。それには、以下の3つの決定的な理由があります。
理由①:時効の完成猶予(ストップ)
これが最大の理由です。
未払い賃金(残業代含む)の請求権には「時効」があります。
以前は2年でしたが、2020年4月の法改正により、現在は「3年」となっています(※当分の間の措置)。
つまり、給料日から3年が経過した分の残業代は、きれいさっぱり消滅してしまい、二度と請求できなくなるのです。
毎月の給料日ごとに、3年前の分から順番に時効が成立していきます。
今悩んでいる間にも、3年前の未払い分が時効にかかり、請求権を失っているかもしれません。
1日遅れるだけで、数千円〜数万円をドブに捨てることになります。
内容証明郵便を送って会社に「払え(催告)」と要求することで、この時効の進行を「6ヶ月間」ストップ(完成猶予)させることができます。
この6ヶ月の間に、交渉をまとめるか、労働審判などの手続きをとれば、過去の分も取り返すことが可能になります。
「いつ請求したか」を公的に証明できる内容証明郵便でなければ、この時効ストップの効果を確実に主張できません。
理由②:証拠能力の確保
内容証明郵便は、郵便局が以下の事項を証明してくれます。
- いつ(日付)
- 誰が(あなた)
- 誰に(会社)
- どんな内容の文書を送ったか
さらに「配達証明」をつけることで、「会社がいつ受け取ったか」も証明されます。
これにより、会社側が「請求書なんて見ていない」「届いていない」という言い逃れをすることが100%不可能になります。
将来的に労働審判や裁判になった際、この「請求したという事実」が極めて重要な証拠となります。
理由③:会社への心理的プレッシャー
ブラック企業や、労務管理がずさんな会社は、従業員からの口頭やメールでの不満を軽視する傾向があります。
「適当になだめておけばいい」「無視すれば諦めるだろう」とタカを括っているのです。
しかし、内容証明郵便という、特殊な書式で、しかも「配達証明」のハンコが押された公的な手紙が届くと、空気は一変します。
「こいつは本気だ」「法律の手続きに乗せてきた」と認識させることができます。
特に、差出人が「行政書士」などの専門家名義になっている場合、「バックに専門家がついた」という事実が伝わるため、会社側も無視できず、顧問弁護士や社労士に相談するなどして、真面目に対応せざるを得なくなります。
【コピペOK】残業代請求の内容証明テンプレート(例文)
それでは、実際に使える内容証明郵便の雛形をご紹介します。
ご自身の状況(金額や日付)に合わせて書き換えてご使用ください。
※内容証明郵便には「1行20字以内、1枚26行以内」などの厳格な字数制限があります。手書きやWordで設定するのが大変な場合は、インターネットから送れる「e内容証明(電子内容証明)」を利用することをおすすめします。
通 知 書
冠省
私は、貴社に対し、未払い賃金(割増賃金)の支払いを以下の通り請求いたします。
私は、令和〇年〇月〇日に貴社に入社し、令和〇年〇月〇日に退職いたしましたが、在職期間中において、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働(残業)を行っておりました。
しかしながら、貴社からは当該時間外労働に対する正当な割増賃金が支払われておりません。
つきましては、私の手元にある就業記録(タイムカード、業務日報等)に基づき算出した、下記の未払い割増賃金を、本書面到達後10日以内に、指定口座へお振込みくださいますよう請求いたします。
記
1. 請求金額 金〇〇〇〇円
(内訳)
対象期間:令和〇年〇月〜令和〇年〇月分
時間外労働時間合計:〇〇時間
未払い額合計:〇〇〇〇円
遅延損害金:〇〇〇円
2. 振込先口座
〇〇銀行 〇〇支店
普通 1234567
口座名義 (あなたの名前)
万一、上記期限内にお支払いなき場合、または誠実な回答が得られない場合は、労働基準監督署への申告、または労働審判・訴訟等の法的措置を講じる所存ですので、ご承知おきください。
早々
令和〇年〇月〇日
(あなたの住所)
(あなたの氏名) ㊞
(会社の住所)
(会社名)
代表取締役 (社長の氏名) 殿
テンプレート使用時のポイント
- 遅延損害金:在職中の賃金には年3%(民法改正後)、退職後の賃金には年14.6%(賃金の支払の確保等に関する法律)の遅延損害金を請求できます。計算が複雑な場合は、まずは元金のみを請求するのも手です。
- 付加金:裁判になれば、未払い額と同額のペナルティ(付加金)を請求できる可能性がありますが、交渉段階の内容証明では、相手を硬化させすぎないよう記載しないこともあります。
- 証拠の記載:「タイムカード等に基づき」と書くことで、こちらには証拠があるぞと暗に伝えます。
自分で送る際のリスクと「計算」の難しさ
上記のテンプレートを使えば、形式上は請求書を作ることができます。
しかし、残業代請求において最も難しく、かつ失敗しやすいのが「残業代の計算」です。
もし、あなたが請求した金額が間違っていたらどうなるでしょうか?
会社側から「計算根拠が不明です」「就業規則の〇条に基づけば、その計算は間違いです」と反論された瞬間、あなたの立場は弱くなり、交渉がストップしてしまいます。
残業代計算の落とし穴
正確な残業代を出すには、以下の要素をクリアしなければなりません。
- 基礎賃金の算出:
月給から「通勤手当」「家族手当」「住宅手当」などを正しく除外して、1時間あたりの単価を出せていますか? - 割増率の適用:
通常の残業(1.25倍)、深夜残業(1.25倍)、休日労働(1.35倍)を正確に区分できていますか? - 変形労働時間制・固定残業代:
会社が「みなし残業(固定残業代)を入れている」と主張する場合、それが法的に有効かどうか判断できますか?無効であれば、その分も合わせて請求できます。
これらの計算は非常に複雑で、専門知識がないと正確な数字を出すのは困難です。
「だいたいこれくらい」というドンブリ勘定で請求すると、逆に足元をすくわれます。
行政書士に依頼するメリット
そこで、行政書士などの専門家に依頼するメリットが生まれます。
- 正確な計算:給与明細や就業規則、タイムカードから、法的に正しい請求額を1円単位で算出します。
- 証拠の補強:タイムカードがない場合でも、交通系ICカードの履歴や業務メール、日記などから、どのように労働時間を立証するかアドバイスし、書面に反映させます。
- 説得力のある書面:「固定残業代が無効である理由」など、法的なロジックを組み込んだ書面を作成できるため、会社の反論を封じることができます。
行政書士が徹底チェック&修正案を提示します。
内容証明を送った後の流れ
内容証明郵便を送った後、事態はどう動くのでしょうか。
主な3つのパターンを解説します。
パターンA:会社が支払いに応じる(解決)
最も理想的な展開です。
「請求額通りに支払います」という連絡が来るか、あるいは指定口座に入金があります。
行政書士名義で送ることで、会社が「裁判になるよりはマシだ」と判断し、早期解決するケースは多々あります。
パターンB:会社から「回答書」が届き、交渉になる
「残業時間は認めるが、計算方法が違う」「資金繰りが厳しいので分割にしてほしい」といった回答書が届くケースです。
ここからは交渉のフェーズになります。
行政書士は相手方との「交渉代理」はできませんが、あなたが有利に交渉を進めるためのアドバイスや、合意書の作成を行うことは可能です。
パターンC:無視される・支払いを拒否される
残念ながら、ブラック企業の中には内容証明すら無視するところもあります。
しかし、ここで諦めてはいけません。
「内容証明を送った(時効を止めた)」という事実を持って、次のステージへ進みます。
- 労働基準監督署への申告:「賃金不払い」として行政指導を求める。
- 労働審判・訴訟:弁護士に依頼して、裁判所の手続きで回収する。
いずれの手続きに進むにしても、最初に送った内容証明郵便が「確固たる証拠」としてあなたを助けてくれます。
まずはボールを投げなければ、何も始まらないのです。
よくある質問(Q&A)
- Q1. 在職中に内容証明を送るとクビになりますか?
- A. 正当な権利主張をしたことを理由とする解雇は、法律上「不当解雇」となり無効です。しかし、事実上会社に居づらくなる、嫌がらせを受けるといったリスクは否定できません。そのため、退職が決まった後や、退職直後に送付するのが一般的で安全です。
- Q2. タイムカードがありません。請求できますか?
- A. 諦める必要はありません。タイムカード以外にも、「業務日報」「送信メールの履歴」「交通系ICカードの乗降履歴」「Googleマップのタイムライン」「日記・手帳のメモ」などが証拠になり得ます。これらを組み合わせて労働時間を推計し、請求を行います。
- Q3. 行政書士は会社と交渉してくれますか?
- A. 行政書士は弁護士と異なり、相手方との直接の交渉(代理権)は持っていません。あくまで「本人の代わりに書面を作成・送付する」業務に限られます。しかし、法的に整った書面を送るだけで相手が支払いに応じるケースは多く、費用を抑える手段として有効です。
- Q4. 「管理職だから残業代は出ない」と言われています。
- A. いわゆる「名ばかり管理職」の可能性があります。法的に残業代が出ない「管理監督者」とは、経営者と一体的な権限を持ち、出退勤の自由があり、ふさわしい待遇を受けている人に限られます。単に「店長」「課長」という肩書だけでは、残業代支払いの義務は免れません。
- Q5. 固定残業代(みなし残業)をもらっていても請求できますか?
- A. 可能です。まず、固定残業代の設定自体が有効かどうかの判断が必要です。有効だとしても、実際の残業時間が固定分を超えていれば、その超過分(差額)を請求できます。
- Q6. 内容証明郵便の作成費用は相手に請求できますか?
- A. 原則として、内容証明の作成費用や行政書士報酬を相手に請求することは難しいです(不法行為に基づく損害賠償の一部として認められる例外はありますが、ハードルは高いです)。費用倒れにならないよう、請求額と費用のバランスを見る必要があります。
- Q7. 時効が過ぎた分も請求してみる価値はありますか?
- A. 法律上、時効期間が過ぎていても、相手が「時効だから払わない(時効の援用)」と言わなければ、支払ってもらうことは可能です。相手が法律に疎い場合や、道義的責任を感じて支払うケースもあるため、ダメ元で請求に含めることも戦略の一つです。
- Q8. 手書きで内容証明を書いてもいいですか?
- A. 可能ですが、文字の訂正ルールなどが非常に厳しく、書き損じると最初から書き直しになります。また、手書きは「素人感」が出てしまい、相手に与えるプレッシャーが弱まる可能性があります。パソコン作成(e内容証明含む)を推奨します。
- Q9. 相手が受取拒否をしたらどうなりますか?
- A. 受取拒否をされても、法的には「到達した(相手が内容を知り得る状態になった)」とみなされる判例があります。拒否されて戻ってきた封筒は、開封せずにそのまま証拠として保管してください。
- Q10. パートやアルバイトでも請求できますか?
- A. もちろんです。雇用形態に関わらず、労働基準法は適用されます。1日8時間、週40時間を超えて働いた場合は、パート・アルバイトであっても割増賃金を請求できます。
まとめ:働いた分の対価は、堂々と請求しましょう
「会社と戦うなんて怖い」「お世話になった会社だから……」
そう思って、未払い残業代の請求をためらってしまう方は少なくありません。
しかし、賃金は労働の正当な対価であり、あなたの生活を支える大切なお金です。
経営者の利益のために、あなたが犠牲になる必要はどこにもありません。
内容証明郵便は、そんなあなたの権利を守るための「最強の武器」です。
この一通を送るだけで、無視され続けていた数百万円の残業代が支払われることも珍しくありません。
「計算が難しくて自信がない」
「プロに任せて、確実に時効を止めたい」
そうお考えの方は、ぜひ一度行政書士にご相談ください。
あなたの働いた時間が正当に報われるよう、全力でサポートいたします。
時効が来る前に、今すぐアクションを。
面倒な計算から書類作成まで、すべてプロにお任せください。
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ご自身で試したい方から、住所を知られたくない方まで。
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参考資料・情報源
- 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)※労働時間、時間外労働(残業)、割増賃金に関する規定 e-Gov法令検索
- 労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)※労働契約の原則、労働条件の変更に関する規定 e-Gov法令検索
- 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)※労働基準法の詳細な運用に関する規定 e-Gov法令検索
- 厚生労働省ウェブサイト:労働基準情報(割増賃金、労働時間など) 厚生労働省
- 労働基準監督署:各種相談窓口 厚生労働省
- 裁判所ウェブサイト:民事事件の手続(未払い賃金請求訴訟、労働審判等) 裁判所
- 全国社会保険労務士会連合会ウェブサイト(労働問題に関する相談、専門家検索) 全国社会保険労務士会連合会
※本記事は、上記の法令、公的機関の情報、専門書籍等を参考に執筆されていますが、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。具体的な問題については、専門家にご相談ください。


