★実録内容証明★婚約破棄と慰謝料|LINE一通で裏切られたシングルマザーの実話と法的闘い
「これは“新しい家族”のはずだった」
2024年の年明け、まだ寒さの残る頃。
私は婚活アプリで一人の男性と出会った。
名前は松浦 誠(まつうら まこと)。
45歳、都内のIT関連企業勤務。話し方が穏やかで、離婚歴がある私にも偏見を持たず、「家庭を持ちたい」と繰り返していた。
私の名前は沢田 みゆき(さわだ みゆき)。
37歳、二人の娘を育てながら仕事と家事を両立させてきた。飲食業界で店長を任され、気づけばシングルマザー10年目。再婚は諦めかけていた。
でも、誠さんは違った。
「娘さんたちにも会ってみたい」
「俺にとっては、みゆきの家族も大事」
その言葉に、私は10年ぶりに“未来”を信じた。
「一緒に暮らそう」その言葉を信じて
2024年11月。
私たちは、新居探しを始めた。
「通勤時間は多少長くなってもいいよ。子どもたちの環境が最優先だから」
そう言ってくれた誠さんの言葉に、心から感謝した。
週末は物件を一緒に内見し、夜は4人で外食。
次女が彼の手を繋いで歩く姿を見て、私は「この人となら、やっていける」と確信した。
年末には、正式に婚約の意思を互いに確認した。
結婚式はしない代わりに、家族だけでの入籍パーティーを春に予定し、職場にも「寿退社」として伝えた。
10年勤めた飲食チェーンの店長職を降りる決意は、簡単ではなかった。
それでも、「この人となら」と思えた。
…それが、全て崩れるとも知らずに。
「たった一通のLINEで、すべてが終わった」
2025年3月。
新居の契約が済み、引越しの日取りも決まったある日。
夕方、娘たちの習い事を終えて帰宅し、スマホを開いた私の目に飛び込んできたのは、見慣れた名前からのLINEだった。
「ごめん、やっぱり結婚は考え直したい。価値観が違いすぎると思った。」
……は?
理解が追いつかなかった。
ついさっきまで、次の週末の家具搬入について話していたはずだった。
誠さんは、結婚を望んでいたはずだった。
娘たちを「家族にしたい」と言ってくれたはずだった。
何かの冗談かと思って電話をかけたが、呼び出し音すら鳴らなかった。
SNSも、メッセージも、すべてブロックされていた。
「裏切られたのは、私だけじゃない」
子どもたちは泣きながら訴えた。
「パパ、なんでいなくなったの?」
「私たち、嫌われたの…?」
誠さんが“新しい父親”になることを受け入れるまでに、娘たちは時間をかけた。
前の夫に裏切られた過去があったから、私は慎重だった。
それでも彼なら大丈夫と信じ、娘たちに紹介したのは、私だった。
次女が“松浦”という苗字になることを、嬉しそうに練習していた。
長女は習い事を辞め、友達にも「転校する」と伝えていた。
子どもたちは、私以上に未来を信じていた。
それを、誠さんはLINE一通で消し去った。
「私は戦うと決めた」
呆然としていた私に、職場の同僚が言った。
「婚約破棄って、慰謝料請求できるんじゃない?」
最初は信じられなかった。
でも調べるうちに、「婚約には法的効力がある」と知った。
単なる交際とは違い、具体的な結婚の合意と準備があれば、慰謝料を請求できる。
私は決意した。誠さんを許さない、と。
「内容証明で送った最後のメッセージ」
弁護士に相談し、誠さん宛てに内容証明郵便を送った。
そこにはこう記した。
・一方的な婚約破棄により精神的苦痛を受けたこと
・退職や引越し準備による経済的損失が生じたこと
・子どもたちへの影響も甚大であること
・慰謝料500万円を請求すること
誠さんからの返事は、なかった。
「法廷で向き合った日」
裁判所で再会した誠さんは、以前の優しい表情ではなかった。
「そんなつもりじゃなかった」
「結婚するとは確約していない」
そう繰り返すばかりだった。
でも、証拠は揃っていた。
婚約指輪の領収書、新居の賃貸契約書、職場への退職願、子どもたちとのLINEのやり取り…。
彼が「結婚する意思」を示していたことは、明らかだった。
「判決が出た日、私は泣かなかった」
裁判所は、私の請求のうち、慰謝料300万円+逸失利益の一部+引越し費用の支払いを命じた。
請求額には届かなかった。
でも、私は満足していた。
お金じゃない。
「責任を認めさせた」ことが、何より大きかった。
「私はもう、過去に縛られない」
娘たちが東京に戻ってきた日、
駅のホームで3人抱き合った。
「ママ、強かったね」
「ほんとに裁判やったんだね。かっこいい」
私は笑った。
もう泣くことはない。
過去は消せない。
でも、未来は自分でつくれる。