時効援用通知書の書き方ガイド|借金の支払い義務を法的に消滅させるための必須項目

最終更新日:2026-04-22

時効援用通知書の書き方ガイド|必須項目・NG文言・そのまま使える文例

時効援用は、制度の理解だけでなく、実際に何を書くかが重要です。 このページでは、通知書の書き方に絞って、必要項目、避けたい表現、使いやすい文例を整理します。

このページでわかること

  • 時効援用通知書に入れるべき必須項目
  • 書きすぎない方がよい理由
  • 危険なNG文言
  • 基本型・債権譲渡対応型の文例

先に全体像を確認したい方へ

時効援用の基本は 入門記事、 内容証明と完成猶予・更新の制度は 制度解説ページ に分けています。 このページでは、書き方そのものに集中します。

時効援用通知書に必要な基本項目

項目内容ポイント
通知日作成日発送管理の基礎になります
通知人あなたの氏名・住所誰が援用するのかを明確にします
被通知人相手方の名称・住所現在の債権者を誤らないことが大切です
対象債権の特定契約名、会員番号、請求番号などどの借金についての通知かを特定します
時効援用の意思表示「消滅時効を援用します」最重要部分です

書き方のポイント|長く書かない方が安全な理由

時効援用通知書は、事情説明の手紙ではありません。 必要なことを簡潔に書く方が、余計な認諾表現を入れずに済みます。

書き方の基本

  • 対象債権を特定する
  • 時効援用の意思を明確に書く
  • 支払相談や言い訳を書き込まない
  • 相手に感情的な非難をしない
  • 不明点が多いときは照会文に切り替える

そのまま使いやすい文例

基本型の文例

通知書

私は、貴社(貴殿)が主張する下記債権について、
消滅時効が完成しているものと判断しますので、
ここに当該債権について時効を援用します。

記

1 対象債権
 契約名義:〇〇
 契約番号:〇〇
 請求番号:〇〇

2 本通知
 上記債権について、私は消滅時効を援用します。
 今後、当該債権に関する請求はお控えください。

以上

令和〇年〇月〇日
住所 〇〇
氏名 〇〇 印

〇〇株式会社 御中

債権譲渡がある場合の文例

通知書

私は、貴社が請求する下記債権について、
既に消滅時効が完成しているものと判断しますので、
ここに時効を援用します。

記

1 対象債権
 原債権者:〇〇
 現債権者:〇〇
 管理番号:〇〇

2 通知事項
 貴社が承継したと主張する上記債権について、
 私は消滅時効を援用します。

以上

令和〇年〇月〇日
住所 〇〇
氏名 〇〇 印

〇〇債権回収株式会社 御中

情報不足で即断しにくい場合の照会文例

照会書

貴社から請求を受けている下記債権について、
現時点では契約内容、最終弁済日、債権譲渡の有無、
裁判手続の有無等を確認できておりません。

つきましては、以下の事項をご教示ください。

1 原契約の内容
2 最終弁済日
3 元債権者および現在の債権者
4 債権譲渡の経緯
5 判決、支払督促その他の裁判手続の有無

なお、本書面は事実確認のための照会であり、
債務の承認その他一切の権利を認める趣旨ではありません。

令和〇年〇月〇日
住所 〇〇
氏名 〇〇 印

〇〇株式会社 御中

※ 裁判歴、一部返済、電話での支払約束などがある場合は、そのまま使えないことがあります。

絶対に避けたいNG文言

  • 「少しなら払えます」
  • 「分割なら払います」
  • 「借りたのは間違いありません」
  • 「今は払えませんが、いずれ払います」
  • 「減額してくれれば払います」

これらは、債務の存在を前提にしたり、支払い意思を示したりする表現として評価されるおそれがあります。 通知書は、援用の意思表示に必要な範囲で簡潔にまとめるのが基本です。

送付方法と保管しておきたいもの

  • 送付した通知文の控え
  • 郵便局の受領証
  • 内容証明の謄本
  • 配達証明書
  • 相手から届いた請求書・封筒・同封書類

送付後の注意

通知後に相手から連絡が来ても、その場で支払相談を始めない方が安全です。 制度面の確認は こちら を参照してください。

Q&A|書き方に関するよくある質問

Q. 手書きでも大丈夫ですか?

A. 読みやすく、内容が明確なら手書きでも作成できます。ただし誤記や読みにくさには注意が必要です。

Q. 文面は長い方が丁寧ですか?

A. そうとは限りません。時効援用通知では、必要事項を簡潔に書く方が安全なことが多いです。

Q. 相手が債権回収会社でも同じですか?

A. 基本構造は同じですが、元債権者名や管理番号など、特定情報をより丁寧に入れる方がよいです。

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執筆者情報

執筆者の顔写真

深沢文敏

内容証明専門家・行政書士

行政書士登録番号:第14130403号

一部上場企業を退職し独立、事務所を開設。内容証明郵便の作成支援において10年以上の実績を持ち、年間200件以上の相談に対応。特に男女関係、金銭トラブル、契約解除などビジネス法務に関する内容証明作成を得意とする。素早い対応と分かりやすい説明そして的確なアドバイスで、多くの依頼者の悩みを解決に導いている。

→ 深沢文敏のプロフィール詳細を見る

参考資料・情報源

本記事の執筆にあたり、以下の公的機関、法令、および公的サービスの情報を参照しています。法的手続きの詳細や最新の運用については、各公式サイトをご確認ください。

  • 法務省:民法(債権法)改正について
    2020年4月の民法改正により、消滅時効の期間(原則5年)に関するルールが変更されています。借入時期によって適用される法律が異なるため、公的な解説を確認することが重要です。
    https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html
  • e-Gov法令検索:民法(第145条 時効の援用)
    「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」と定めた条文です。通知書を送る法的根拠となります。
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
  • 日本郵便:内容証明
    時効援用通知書を送付する際の標準的な手段である「内容証明郵便」の利用方法、および「配達証明」のオプションについて解説されています。
    https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html
  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
    指定信用情報機関です。自身の借入状況や「最後の入金日(延滞発生日)」を正確に把握するために、信用情報の開示請求を行う際の窓口となります。
    https://www.cic.co.jp/mydata/index.html
  • 法テラス(日本司法支援センター)
    「裁判を起こされている場合」や「時効期間が過ぎているか判断できない場合」など、自己判断が危険なケースでの無料法律相談窓口です。
    https://www.houterasu.or.jp/

※本記事は、上記の法令、公的機関の情報、専門書籍等を参考に執筆されていますが、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。具体的な問題については、専門家にご相談ください。