「浮気調査の費用」を不貞慰謝料に上乗せ請求できる?内容証明での書き方
配偶者の浮気を疑い、探偵に調査を依頼するケースは少なくありません。ところが、浮気調査には数十万円単位の費用がかかることも多く、「このお金も浮気した相手や不貞配偶者に請求できないのか」と考える方もいます。
本記事では、浮気調査の費用を不貞慰謝料に加算して請求できるかどうか、法律上の考え方や裁判例、そして内容証明を使った伝え方について詳しく解説します。
浮気調査の費用は不貞慰謝料に含められる?
基本的な考え方
原則として、浮気調査にかかった探偵費用そのものは「直接的な損害」とはみなされにくく、慰謝料とは別枠で請求することは難しいとされています。
慰謝料は「精神的苦痛」に対する損害賠償であるため、調査にかかった費用が自動的に加算されるわけではありません。
例外的に認められるケース
- 調査費用が社会通念上「必要かつ相当」な範囲である場合
- 不貞の事実を立証するために調査が不可欠であったと判断される場合
- 費用が過大でなく、目的に見合った合理的な範囲であること
裁判例でも、50万円程度までの調査費用の一部を損害賠償として認めたケースがあります。
浮気調査費用と慰謝料の関係
慰謝料の相場に与える影響
浮気調査費用が直接的に加算されることは少ないですが、証拠の確実性が高まることで慰謝料額そのものが増額される可能性はあります。
つまり「費用の上乗せ」というより、「証拠力の強化による慰謝料の増額効果」と考えるべきです。
加算請求が認められた裁判例
例えば、ある裁判では探偵費用の半額を不貞配偶者に賠償させた例があります。ただし、調査日数や費用が高額すぎる場合は「必要性を欠く」とされ、認められませんでした。
浮気調査費用を請求する際の注意点
証拠として領収書を残す
調査会社の領収書や契約書をきちんと保管しておくことが大切です。証拠がなければ「実際に支払ったか」が証明できません。
調査範囲の合理性
数百万円単位の調査費用や、長期間にわたる追跡調査は過剰とみなされる可能性が高いです。費用が高額であるほど認められにくくなります。
請求相手の選択
調査費用を請求する場合、不貞行為を行った配偶者本人だけでなく、不貞相手に対しても連帯責任を問うことができます。ただし、裁判実務上は配偶者に対しての請求が中心です。
内容証明で伝えるときのポイント
「慰謝料請求」に付随させる形
内容証明郵便で請求する際は、慰謝料請求の中に「調査費用の一部も含めて請求する」という形で記載するのが一般的です。
強調すべき点
Q:どのように表現すればよい?
A:「不貞行為の立証のため、探偵調査を実施し、費用〇〇円を要した。この費用は不貞行為による損害に付随する支出であるため、慰謝料請求額に含める」などの形で記載します。
請求額の調整
調査費用をそのまま全額上乗せするのではなく、一部を加算して総額として提示する方が受け入れられやすい傾向があります。
よくある疑問
Q1:浮気調査費用を必ず請求できる?
A1:必ず認められるわけではありません。必要性や金額の相当性が重要です。
Q2:調査を依頼しないと慰謝料はもらえない?
A2:必ずしもそうではありません。メールやLINE、写真などで不貞の証拠があれば調査なしでも慰謝料請求は可能です。
Q3:相手が支払いを拒否した場合は?
A3:家庭裁判所や民事裁判での解決となります。その際、調査費用をどこまで請求できるかは裁判官の判断になります。
まとめ
浮気調査費用をそのまま不貞慰謝料に上乗せするのは難しいですが、必要性や金額が妥当と認められれば一部が損害賠償として認められるケースがあります。
内容証明を作成する際は、慰謝料請求の一部として調査費用を含める形で表現するのが実務上のポイントです。