内容証明の「1行20文字・1枚26行」をWordで一発書式設定する方法

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「内容証明郵便を自分で作成しようと思ったが、Wordの設定がうまくいかない」「1行20文字に設定したはずなのに、印刷すると21文字になってしまう」
内容証明郵便(証明郵便)は、法的な意思表示を行うための重要なツールですが、その作成において最も高いハードルとなるのが「書式の厳格さ」です。郵便局の窓口では、内国郵便約款に基づき、文字数と行数を厳密に審査されます。「1文字でもオーバーしていれば受け付けない」という徹底ぶりです。
しかし、Microsoft Wordは高機能であるがゆえに、「見やすさ」を優先して文字間隔を自動調整する機能(プロポーショナルフォントや禁則処理)がデフォルトで働いてしまいます。これが原因で、画面上では揃っているように見えても、実際の文字カウントでは規定違反となり、郵便局で突き返されるケースが後を絶ちません。
この記事では、Windows版およびMac版のWordを使用して、内容証明郵便の黄金ルールである「1行20文字・1枚26行」を狂いなく一発で設定する方法を、初心者にも分かりやすく解説します。また、設定しても文字がズレてしまう「隠れた原因」とその対処法についても網羅します。
そもそもなぜ「Wordの初期設定」ではダメなのか?
設定手順に入る前に、なぜWordをそのまま使ってはいけないのか、敵(Wordの自動機能)を知っておきましょう。これを知らないと、何度設定し直しても同じミスを繰り返します。
内容証明郵便の「文字カウント」ルール
郵便規則では、横書きの内容証明について以下の制限を設けています。
- 1行の文字数:20文字以内(26文字以内も可だが、20文字が一般的かつ安全)
- 1ページの行数:26行以内
- カウント方法:記号(%、+)、括弧、句読点もすべて1文字。半角文字も1文字扱い。
Wordの「親切機能」が仇になる
Wordには、文章を美しく見せるために以下の機能が備わっていますが、これらが内容証明作成においては「お節介」となります。
- プロポーショナルフォント:「MS P明朝」のように、文字によって幅を変える機能。「i」は狭く、「W」は広く表示されるため、1行の文字数がバラバラになります。
- 禁則処理:行末に「。」や「、」が来ないよう、勝手に前の行に詰め込んだり、次の行に送ったりする機能。これにより、1行が21文字になったり19文字になったりします。
- カーニング(文字詰め):英数字の隙間を自動で詰める機能。これも文字数オーバーの原因です。
これらをすべて「オフ」または「固定」にしない限り、正確な原稿は作れません。
【Windows版】Wordで「1行20文字×26行」を一発設定する手順
では、具体的な設定手順を解説します。順を追って操作してください。
Step 1:余白の設定(まず枠を決める)
文字数設定の前に、用紙の余白を確保します。内容証明は文字数が少ないため、余白を広めにとるのが一般的です。
以下の数値を目安に入力してください(A4用紙の場合)。
- 上:30mm
- 下:30mm
- 左:30mm
- 右:30mm
※これで印刷可能範囲が狭まり、文字数を制限しやすくなります。
Step 2:フォントの設定(等幅フォントにする)
これが最重要ポイントです。必ず「等幅フォント」を選びます。
- フォント名:「MS 明朝」または「MS ゴシック」を選択。
※絶対に「MS P明朝」を選ばないでください!「P」がついていると幅がズレます。 - サイズ:「10.5pt」~「12pt」(大きすぎると行数が入りきらず、小さすぎると読みづらいです。11ptか12ptが推奨です)
設定したら、同じ画面の「詳細設定」タブを開き、「カーニングを行う」のチェックを外します。
Step 3:文字数と行数の指定
いよいよ本丸の設定です。
- 「文字方向」で「横書き」を選択。
- 「文字数と行数の指定」で「文字数と行数を指定する」にチェックを入れる。
- 文字数:「20」
- 行数:「26」
※もし「20」と入力しても勝手に数字が変わってしまう場合は、フォントサイズを小さくするか、余白を少し狭く(25mm程度に)してください。
Step 4:グリッド線の設定(目視確認用)
画面上で20文字のマス目が見えると、ミスを防ぎやすくなります。
ページ設定画面の右下にある「グリッド線」ボタンをクリック。
- 「グリッド線を表示する」にチェック。
- 「文字グリッド線を表示する間隔」を「1」本にする。
- 「行グリッド線を表示する間隔」を「1」本にする。
これで、原稿用紙のようなマス目(またはガイド線)が表示され、文字が収まっているかが一目瞭然になります。
Step 5:段落設定(禁則処理の無効化)
最後に見えない罠「禁則処理」を解除します。
- 「禁則処理を行う」のチェックを外す。
- 「句読点のぶら下げを行う」のチェックを外す。
これをしないと、行末に「。」が来たときに勝手に文字間が詰まったり、次の行に送られたりして、20文字のカウントが狂います。
【Mac版】Wordでの設定方法(Windowsとの違い)
Mac版のWordでも基本は同じですが、メニューの場所やフォント名が異なります。
Mac版の設定フロー
- メニューバーの「フォーマット」→「文書のレイアウト」をクリック。
- 「文字数と行数」タブを選び、「文字数と行数を指定する」を選択。
- 文字数を「20」、行数を「26」に設定。
Macユーザー特有の注意点:ヒラギノフォント
Macの標準フォントである「ヒラギノ明朝 ProN」などは非常に美しいですが、プロポーショナル的な挙動をすることがあります。安全を期すなら、Macに標準搭載されているWindows互換フォントを使用するのが無難です。
- 推奨フォント:「MS 明朝」(MacにOfficeを入れるとインストールされます)
- 避けるべきフォント:「Helvetica」などの欧文フォント、名前に「P」がつくフォント。
設定しても「文字数がズレる」時の原因と対処法
「完璧に設定したはずなのに、印刷してみたら1行に21文字入っていた」「行末がガタガタになる」というトラブルは頻発します。その原因と解決策をまとめました。
原因1:半角英数字を使っている
内容証明において、半角の「1」も全角の「1」も、郵便局では同じ「1文字」としてカウントされます。
しかし、Word上では半角文字は「0.5文字分」の幅しか取らないことが多く、1行に詰め込まれてしまいます。
【対処法】
文書内の英数字・記号は、すべて「全角」で入力してください。
「100,000円」→「100,000円」
こうすれば、Wordのマス目と郵便局のカウントが完全に一致します。
原因2:インデント(字下げ)が入っている
段落の最初にスペースを入れたり、Tabキーでインデントを行ったりすると、設定した文字数グリッドからズレることがあります。
【対処法】
段落設定の「インデントと行間隔」タブで、インデントが「0字」になっているか確認してください。内容証明では、段落初めの1字下げは必須ではありません(下げても1文字消費とみなされるだけです)。
原因3:行末のスペースが見えていない
行末に不要なスペースが入っていると、画面上では見えなくても、郵便局員によっては「ここに文字(空白)がある」とみなしてカウントする場合があり、トラブルの元です。
【対処法】
編集記号の表示(¶ボタン)をオンにして、不要なスペースが紛れ込んでいないか確認しましょう。
完成後の最終チェックと印刷・製本ルール
画面上で完成したら、いよいよ印刷です。ここでも最後の落とし穴があります。
1. 試し印刷をして定規で測る?
いいえ、定規で測る必要はありませんが、「指差し確認」で文字数を数えてください。
特に、数字やアルファベットが含まれる行、括弧が多い行は、目視で「1、2、3…20」と数えます。もし21文字になっていたら、どこかに半角やプロポーショナルフォントが残っています。
2. 3部作成する(正本・謄本)
内容証明は同じものが3通必要です。
- 相手に送る用(正本)
- 郵便局保管用(謄本)
- 自分保管用(謄本)
Wordで作成したら、そのまま3部印刷すればOKです。コピーでも構いませんが、印鑑はすべて「朱肉」で直接押す必要があります。
3. 複数枚になる場合の「契印(割印)」
枚数が2枚以上になる場合は、ホッチキスで留めた後、ページのつなぎ目にハンコを押します(契印)。
これは3部すべてに行います。これを忘れると窓口で受け付けてもらえません(その場で押せばOKですが、印鑑を忘れるとアウトです)。
4. 訂正がある場合のルール
印刷後に誤字を見つけた場合、Wordで直して再印刷するのが一番きれいですが、手書きで訂正することも可能です。
その場合、以下の厳格なルールがあります。
- 該当箇所を二重線で消し、近くに正しい文字を書く。
- 欄外(余白)に「〇字削除 〇字加入」と書き、そこに印鑑を押す。
この訂正ルールは非常に複雑で、素人がやると間違えやすいため、「間違えたら再印刷」を強くおすすめします。
よくある質問(Q&A)
A. はい、含まれます。
タイトル、日付、差出人住所、受取人氏名など、用紙に印字されているすべての文字が「1行20文字以内」の制限を受けます。「タイトルだから大きくして中央揃えにしよう」とした結果、1行の幅を超えないように注意してください。
A. はい、問題ありません。
一般的なビジネス文書ではマナー違反とされる「行頭の句読点」ですが、内容証明郵便においては形式(文字数カウント)が最優先されるため、許容されます。むしろ、無理に行頭を避けて文字詰めをする方が、文字数オーバーのリスクがあるため避けるべきです。
A. 圧倒的にWordが楽です。
手書きの場合、3通すべてを手書きするか、1通書いてコピーする必要があります。書き損じた時の訂正も大変ですし、何より手書きの文字は相手に「古い体質の個人からの手紙」という印象を与えがちです。Wordできっちり作られた書面の方が、事務的で冷徹なプレッシャーを与える効果も期待できます。
A. いいえ、全く違います。
e-内容証明の場合、「1行20文字」という制限はなくなり、Wordの余白設定(上下左右)のみが厳密に指定されます。今回解説した設定は、あくまで「紙に印刷して郵便局の窓口に持っていく場合」の設定です。
まとめ:設定さえクリアすれば内容は怖くない
内容証明郵便の作成において、Word設定は最初の難関ですが、一度正しく設定してしまえば、あとは中身(文章)に集中できます。
【設定の極意まとめ】
- 余白を広めにとる(上下左右30mm)。
- フォントは「MS 明朝(等幅)」にする。
- 「禁則処理」と「句読点のぶら下げ」をオフにする。
- 英数字はすべて「全角」で入力する。
この4点を守れば、郵便局の窓口で「文字数が合いませんね…」と気まずい空気になることはありません。堂々と提出し、あなたの正当な権利を主張してください。
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