相手の住所がわからなくても諦めないで!内容証明を送るための住所調査・送付ガイド

「お金を貸した相手と連絡が取れなくなった。家に行ってみたら、もう引っ越した後だった…」
「夫の浮気相手に慰謝料を請求したいけれど、名前と携帯番号しかわからない」
「ネット取引でトラブルになった相手に内容証明を送りたいが、住所を知らない」
内容証明郵便を送ろうと思い立ったとき、最初にして最大の壁となるのが「相手の現住所がわからない」という問題です。
おそらく、このページに辿り着いたあなたは、ご自身で役所の窓口に行き、相手の住民票を取ろうとして断られた経験があるのではないでしょうか?
窓口の担当者から「個人情報ですから教えられません」「警察を通してくだい」と冷たくあしらわれ、途方に暮れているかもしれません。
しかし、諦めるのはまだ早いです。
「住所不明」は内容証明郵便における最大の難所ですが、決して超えられない壁ではありません。私たち行政書士のような国家資格者には、法律で認められた調査権限があり、一般の方が辿り着けない情報にアクセスできるルートが存在します。
この記事では、住所がわからなくて困っている方に向けて、「なぜ自分で調べるのが難しいのか」という基礎知識から、「行政書士が行う職権調査の仕組み」、さらには「勤務先や実家へ送付する際の裏ワザとリスク」まで、プロのノウハウを余すところなく6000文字で徹底解説します。
1. そもそも、なぜ「住所」がわからないと内容証明は送れないのか?
まずは基本の確認です。なぜこれほどまでに「住所」の特定が重要なのでしょうか。
法律の世界は「到達主義」
民法では、意思表示(「金返せ」「契約を解除する」など)は、相手に「到達」した時点で初めて効力が発生すると定められています(民法97条1項)。
つまり、あなたがどれだけ熱心に督促状を書いても、どれだけ相手のことを思って内容証明を作成しても、それが相手の手元に届かなければ、法的には「何もしていない」のと同じことになってしまうのです。
「住所」と「居所」の違い
内容証明を送る宛先は、厳密には住民票上の「住所」である必要はありません。相手が実際に寝起きしている場所、つまり「居所(きょしょ)」でも構いません。
しかし、居所に送るためには「相手がそこに住んでいる」という確証が必要です。宛名不在で戻ってきてしまえば、結局は意味がありません。
そのため、最も確実な公的記録である「住民票上の住所」を特定することが、トラブル解決の第一歩となるのです。
2. 自力で探すのは無理? 住民票取得の「高い壁」
「相手の名前も、前の住所もわかっている。だったら役所に行って、新しい住所を聞けばいいじゃないか」
そう思われるのも無理はありません。しかし、現在の日本では、個人情報保護の観点から、他人の住民票を取得することは極めて困難になっています。
「第三者請求」の厳格化
以前は誰でも他人の戸籍や住民票を見ることができた時代もありましたが、現在は住民基本台帳法により厳しく制限されています。自分以外の住民票を取得できるのは、以下のような「正当な理由」がある場合に限られます。
- 自己の権利を行使し、または自己の義務を履行するために必要がある場合
- 国または地方公共団体の機関に提出する必要がある場合
- その他、正当な理由がある場合
役所窓口での「門前払い」の実態
「お金を貸しているから(権利行使)、相手の住民票をください」と言えば出してくれるかというと、現実はそう甘くありません。
役所の窓口では、以下のような証拠資料(疎明資料)の提示を求められます。
- 金銭消費貸借契約書(借用書):本当にお金を貸しているかの証拠。
- 返済が滞っている事実の証明:通帳のコピーなど。
- 相手との関係性を示す資料:単なる知人ではなく、法的な利害関係があることの証明。
例えば、口約束だけでお金を貸していた場合や、不倫慰謝料請求で「相手の住所を知りたい」という段階では、客観的な証拠資料が不足していると判断され、交付を拒否されるケースがほとんどです。
「個人情報保護」の盾は、あなたが想像している以上に分厚いのです。
3. 行政書士の切り札「職務上請求書」による調査とは
ここで登場するのが、私たち行政書士をはじめとする「士業」だけが使用を許されている「職務上請求書」という特別な用紙です。
職務上請求書(職権請求)の仕組み
行政書士は、依頼者から「内容証明郵便の作成」や「示談書の作成」といった業務を依頼された場合に限り、その業務遂行に必要な範囲で、職務権限によって第三者の住民票や戸籍の附票を取得することができます。
これは、「依頼者の権利を守るために、どうしても相手の住所が必要だ」という正当性が、国家資格者によって担保されているからこそ認められている特権です。
どのような調査が可能なのか?
① 旧住所から新住所への追跡
相手が以前住んでいた住所(わかっている最後の住所)の役所で「住民票の除票」を取得します。そこには「転出先」が記載されています。その転出先を追いかけることで、現在の住所を突き止めます。
② 本籍地からの追跡(戸籍の附票)
相手の本籍地がわかっている場合は、「戸籍の附票」という書類を取得します。これには、その人がこれまでに住民登録をした住所の履歴がすべて載っています。ここから現住所を一発で特定できることもあります。
調査のために必要なもの
当事務所にご依頼いただく際は、以下の情報や資料があると調査の成功率が格段に上がります。
- 相手の氏名(漢字が正確であること)
- 以前住んでいた住所(アパート名なども詳しく)
- 生年月日(わかれば同姓同名の別人を除外できます)
- 本籍地(免許証のコピーなどがあればベストです)
- トラブルの経緯を示す証拠(契約書、LINEの履歴、メールなど)
この調査は、あくまで「相手が役所に正しく転出入届を出している」場合に有効です。
夜逃げ同然で引っ越し、住民票を前の住所に残したままにしている場合や、住民票を職権消除(役所の権限で消されること)されている場合は、書類上の追跡はそこでストップしてしまいます。
「魔法のようにどこにいても見つけられる」わけではない点をご理解ください。
4. 住民票上の住所に住んでいない! その場合の対処法
職権請求で住民票を取り寄せたものの、「その住所にはもう誰も住んでいないようだ」というケースも少なくありません。
あるいは、最初から「住民票は実家に置いたまま、どこかのアパートに潜伏している」という場合もあります。
このような「住所不定」に近い状態の場合、どのような手が打てるのでしょうか。
行政書士による「現地確認」
書類で追えない場合、実際にその場所へ行ってみるしかありません。
当事務所では、オプションサービスとして、判明した住所地への「現地確認」も行っています。
- 表札の確認:相手の名前があるか。別人の名前になっていないか。
- 郵便受けの状況:郵便物が溢れていないか(長期不在の兆候)。ガスメーターは回っているか。
- 電気メーターの確認:生活の痕跡があるか。
これにより、「住民票はあるが、実態はない(空室)」なのか、「住民票はないが、実態としてはそこに住んでいる(居所)」なのかを判断します。
探偵・調査会社との連携
行政書士ができるのは、あくまで「外形的な確認」までです。張り込みをして帰宅を待ったり、聞き込みをして居場所を探ったりすることは、探偵業法に関わるため行政書士単独ではできません。
もし、より深い調査が必要な場合は、当事務所と提携している信頼できる調査会社(探偵)をご紹介します。
「お金をかけてでも相手を見つけ出し、責任を取らせたい」という強いご希望がある場合は、このルートが最短の解決策になります。
5. 勤務先や実家へ送っても大丈夫? リスクと回避策
「自宅はわからないけど、会社なら知っている」
「実家の住所なら年賀状で知っている」
このような場合、そちらに内容証明を送ってしまえばいいのではないか?と考えるのは自然です。しかし、ここには大きな落とし穴があります。
勤務先への送付リスク:名誉毀損に注意
勤務先に内容証明郵便を送ること自体は違法ではありません。しかし、会社の人間に「借金の督促状だ」と知れ渡るような送り方をすると、「名誉毀損」や「プライバシー侵害」で逆に相手から訴えられるリスクがあります。
また、相手が「会社に居づらくなって辞めた」となれば、給料の差し押さえもできなくなり、元も子もありません。
【プロの回避策】
当事務所が勤務先へ送付する場合は、細心の注意を払います。
- 封筒への記載:「親展」と明記し、外見からは中身(請求書であること)がわからないように配慮します。
- 差出人名:行政書士名で送ることで、個人的な恨みによる怪文書ではなく、公的な事務連絡である体裁を整えます。
- 特定記録郵便の活用:いきなり内容証明(赤い紙)で送るのではなく、まずは「特定記録郵便」で送付し、在籍確認を行うステップを踏むこともあります。
実家への送付リスク:親は関係ない?
成人した子供の借金を、親が肩代わりする義務は法的にはありません。
実家に送ることで、親御さんが驚いて支払ってくれるケースもありますが、逆に「うちの子とは絶縁している!勝手に送りつけるな!」とトラブルになることもあります。
【プロの回避策】
実家に送る場合は、「〇〇様方(実家の世帯主) 〇〇〇〇様(本人)」という宛名にするか、「気付(きづけ)」という送付方法を使います。
また、文面もいきなり法的措置をちらつかせるのではなく、「ご連絡が取れずに困っております。ご本人様にお渡しいただけますでしょうか」という、家族への配慮を含んだ手紙(添え状)を同封するなどの工夫を行います。
6. どうしても見つからない場合の「最終手段」
住民票調査を行い、現地に行き、勤務先も調べたが、どうしても見つからない…。
完全に行方がわからない場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか?
いいえ、法的な手続きを進めるための「最終手段」があります。
公示送達(こうじそうたつ)を見据えた準備
相手が行方不明の場合、裁判所の掲示板に呼出状を掲示することで、相手に届いたとみなして裁判を進める「公示送達」という手続きがあります。
これを行えば、相手が欠席のまま裁判で勝訴判決を得て、将来相手が見つかった時に財産を差し押さえる権利(債務名義)を確定させることができます。
「宛所尋ねあたり(あてしょたずねあたり)」の証拠化
公示送達を利用するには、裁判所に対して「これだけ手を尽くして探しましたが、見つかりませんでした」という調査報告書を提出しなければなりません。
その際、行政書士が作成して送付した内容証明郵便が「宛所尋ねあたり(宛先の住所に誰も住んでいない)」という理由で返送されてきた事実は、強力な証拠の一つになります。
つまり、「届かなかった内容証明」も、無駄にはならないのです。
当事務所では、この「調査報告書」の作成サポート(※本人訴訟支援として)までを見据えて、一連の業務を行います。
7. よくある質問(FAQ)
- Q. 調査だけをお願いすることはできますか?
- A. 申し訳ありませんが、行政書士は「探偵」ではないため、単なる人探し(所在調査のみ)はお受けできません。
内容証明郵便の作成や、示談書の作成といった「権利義務に関する書類作成業務」のご依頼とセットである場合に限り、職権での調査が可能となります。 - Q. 調査にかかる費用と期間は?
- A. 調査の難易度によりますが、住民票・戸籍の取得だけであれば、通常1週間〜2週間程度で判明します。
費用については、「内容証明作成プラン(調査費込み)」をご用意しておりますので、お見積りにてご確認ください。 - Q. 相手に新しい住所を知られたくないのですが…。
- A. DV被害やストーカー被害などでご自身の住所を秘匿している場合は、行政書士事務所の住所を差出人として記載し、窓口となることが可能です。あなたの住所を相手に知られずに請求を行うことができます。
8. 住所調査から内容証明まで、プロが「点と線」を繋ぎます
「住所がわからない」
このたった一つの事実が、あなたの正当な権利行使を阻んでいます。
お金を貸した優しさや、被害に遭った辛さが、相手の逃げ得によって踏みにじられることはあってはなりません。
自分一人で悩んでいても、個人情報の壁は厚く、時間は過ぎていくばかりです。そして、時間が経てば経つほど、相手の足取りは掴みにくくなり、時効のリスクも迫ってきます。
私たち行政書士は、法律というツールを使って、その分厚い壁に穴を開けることができます。
住民票の調査、現地確認、リスクを回避した送付方法、そして万が一の時の証拠作りまで。
あなたの「伝えたい」「解決したい」という想いを、確実に相手に届けるために。まずは手元にあるわずかな情報を持って、当事務所にご相談ください。
その断片的な情報が、解決への重要な手がかりになるはずです。
相手の居場所がわからずお困りの方へ
行政書士が「住所調査」と「内容証明」をワンストップで代行します
「役所で断られた」「名前しか知らない」
そんな場合でも、職権請求により現住所が判明するケースは多々あります。
諦める前に、まずは無料相談で可能性を探ってみませんか?
※全国対応・オンライン相談可
※秘密厳守。ご家族に内緒での調査も配慮いたします。
\ 最も選ばれているのは「住所秘匿プラン」 /
自宅住所を相手に知られたくない方も、匿名に近い形で安心して内容証明を送れます。
📩 目的別に選べる4種類のサポート
状況に応じて最適なプランをご用意しています。
※ 個人利用のみ/商用利用不可。
参考資料・情報源
本記事は、住民基本台帳法および民事訴訟法の手続きに基づき作成しています。相手の現住所を合法的に調査し、法的通知を確実に届けるための手段については、以下の公的機関等の情報を参照してください。
- 総務省:住民基本台帳法(第三者による住民票の請求)
「お金を貸している(債権がある)」「裁判をする必要がある」などの正当な理由がある場合、本人以外の第三者でも相手の住民票(現住所)を取得できる法的根拠について解説されています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/gaiyou.html - 法務省:戸籍の附票の写し
もし相手の「本籍地」がわかっている場合、「戸籍の附票」を取得することで、これまでの住所移転の履歴を全て確認し、現在の住所地を特定できる可能性があります。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji15.html - 日本弁護士連合会:弁護士会照会(23条照会)
相手の「携帯電話番号」や「銀行口座」しか知らない場合に、弁護士を通じて携帯キャリアや銀行等の企業に照会をかけ、契約者の住所を開示してもらう強力な調査手続きです。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/improvement/shokai.html - 裁判所:公示送達
あらゆる調査を行っても住所が判明しなかった場合に、裁判所の掲示板に掲示することで、法的に「相手に書類が届いた」とみなして手続きを進める最終手段(民事訴訟法)の案内です。
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_03.html - 日本郵便:転居・転送サービス
相手が引っ越している場合でも、郵便局に転送届を出していれば新しい住所へ転送されます。内容証明を送ってみて「転送不要」で返ってくるかを確認するのも一つの調査手段となります。
https://www.post.japanpost.jp/service/tenkyo/



