あの夜の「一緒に住もうよ」は、たぶん私にとって魔法の言葉だった。
仕事帰りの居酒屋。酔った彼が私の耳元でささやいた。
「お前と一緒に住んだら、毎日楽しいんだろうなぁ」
その言葉に心が浮き立って、私はあっさりと引っ越しを決めた。実家を出たのも、家電を買いそろえたのも、全部「彼と一緒に暮らす未来」のためだった。
同棲生活のはじまりと生活費の不公平
彼は優しかった。最初のうちは。
同棲が始まったのは、2024年2月。築浅の1LDKマンションで、彼は「生活費は折半でいいよ」と言った。
でも実際は、私の方が多く出すことが増えた。
「今月ちょっとキツくてさ」「ボーナス出たら返すから」
そんな言葉を信じて、私は生活費の多くを負担していた。それでも、彼と過ごす夜や休日に癒されていた私は、目をつむった。
異変と破局
異変があったのは、9月頃から。彼の帰りが遅くなり、休日も「仕事がある」と言っては外出する日が増えた。
そして12月、彼のスマホに映った“別の女性”の名前。問い詰めると、彼は黙ってうつむいたあとにこう言った。
「…ごめん、気持ちが冷めた。別れてほしい」
あまりにも一方的だった。私は涙も出ず、ただ呆然と彼の背中を見送った。彼はそれっきり、戻ってこなかった。合鍵を返すこともなく、置いていった私物にも一切触れずに。
そして、生活費2ヶ月分。彼が「出す」と約束していた14万円は、今も未払いのままだった。
内容証明郵便との出会い
そんなとき、職場の先輩が言ってくれた。
「一回、ちゃんと“書面”にしてみたら?」
内容証明郵便──見知らぬ言葉だったけれど、ネットで調べるうちにわかってきた。LINEや口約束じゃダメ。法的に有効な“意思表示”を、第三者を通じて記録に残す手段。
私は、行政書士事務所に相談のメールを送った。「生活費の未払いと、残置物の撤去について通知書を出したい」と。
内容証明郵便の実際
数日後、事務所からPDFファイルが届いた。
「通知書」というタイトルには、こう書かれていた。
2024年12月3日の破局後、同棲中の生活費2か月分(140,000円)の未払いがあること、さらに、貴殿の所有物が残置されたままになっていることを指摘します。
本書到着後2週間以内に送金および撤去を行うよう要求します。
弁護士ではなく、行政書士。だからこそ、いきなり訴訟ではなく「まずは冷静に通告」という手段だった。それが私にはちょうどよかった。
内容証明の効果と結果
私はその書面を印刷し、郵便局から内容証明で送った。その週末、彼から久しぶりにLINEが届いた。
「なんで、そんな大げさなことするの?」
「お前、変わっちゃったな」
変わったのは、私じゃない。何も責任を取らずに消えようとした“彼の優しさ”のほうだ。
彼はその後、生活費を振り込んできた。「もう連絡はしない」と書かれたメッセージとともに。
私物の撤去は、結局こちらでまとめて処分した。
同棲解消後の請求トラブル
同棲して2年目。些細なことから喧嘩が増え、互いの未来が見えなくなっていた。
悠斗から届いた「生活費、返してくれる?」というLINE。家賃や光熱費の負担は半々だったのに、彼は「労力の対価」を請求すると言い出した。
数日後、Excelで作られた請求リストが届き、130,000円を要求。
相談した友人は「脅しだよ」と言ったが、私は不安で眠れなかった。
弁護士相談で知った境界線
無料法律相談で、
「同棲中の金銭的やり取りは、契約がなければ請求困難」
「一部立証できる支出は返還請求可能」
と教えられた。
つまり、すべてが無効ではない。
ここで“内容証明”の出番が来た。
冷静な拒絶と自分を守る方法
行政書士と一緒に文面を作成した。
・相手の請求には法的根拠がないこと
・こちらが負担してきた支出や家事労働の実態
・今後、根拠のない請求や執拗な連絡は控えるよう求めること
そして最後に、こう記した。
「今後、同様の請求を繰り返す場合は、法的措置を検討します」
その内容証明を送付したあと、彼からの返信はなかった。
学びと終止符
恋愛とお金、同棲と責任、別れと感情。全部が絡み合った世界で、一通の文書で自分を守る線を引けた。
別れ後の記録は“武器”にも“盾”にもなることを実感した。
泣き寝入りせず、きちんと「終わらせる」ために取った一歩。
文書で線を引いたあの日から、私はようやく前を向けるようになった。
内容証明サポート・料金プラン一覧
ご自身で試したい方から、住所を知られたくない方まで。
目的とご予算に合わせてお選びいただけます。
作成+発送代行プラン
- WEBヒアリングで詳細をお伺い
- 行政書士が全文作成・修正1回無料
- 内容証明+配達証明を差出人名義で発送代行
作成代行&郵送
- WEBヒアリングでトラブル内容を丁寧に確認
- 行政書士が全文を作成(修正1回無料)
- 相手方に自宅住所を直接知られにくい発送方法を提案
- 内容証明+配達証明を行政書士が郵送手配
行政書士名で代理通知&速達
- 差出人名を「クロフネ行政書士事務所」として発送
- 相手方に本人の住所・氏名を開示せず通知
- 証拠を残す配達証明付き内容証明で発送
- 急ぎの依頼に優先作成&速達で手配




