パワハラを直属の上司以外(人事部)に相談するための「内部通報文書」の書き方

パワハラを直属の上司以外(人事部)に相談するための「内部通報文書」の書き方
パワハラの加害者が直属の上司である場合、
相談先を失い「誰にも言えない」と追い込まれることが少なくありません。
しかし、会社は本来、あなたを守る義務があります。
そのために必要なのが、人事部や専門窓口へ提出する内部通報文書です。
感情的ではなく、会社が動かざるを得ない文書の作り方を紹介します。
内部通報文書が重要な3つの理由
1. 組織として無視できない「正式な情報」になる
口頭の相談は担当者の判断で握りつぶされる可能性があります。
文書化することで、会社は対応を検討せざるを得ない状況を作れます。
2. 上司を介さず問題解決のルートを選べる
人事部・経営層・相談窓口へ直接届くため、
パワハラ上司からの報復リスクを下げられます。
3. 職場環境改善の具体策が動きやすくなる
人事部は現場の悪化を把握できていないケースが多く、
内部通報は会社のリスク管理の重要材料となります。
内部通報文書は
「会社の意思決定を動かすための提案書」
です。
内部通報文書に書くべき内容(会社が求めている情報)
会社が判断するうえで必要なのは以下の3点です。
① 状況の正確性(事実ベース)
- いつ、どこで、誰に、何をされたか
- どのくらいの頻度か
- 周囲の状況はどうだったか
② 業務への影響
人事部が動く基準は「組織としての損失」。
あなた個人の苦痛だけでは通りにくいケースがあります。
例:業務効率低下/離職リスク/チーム全体の悪影響
③ 会社に求める具体的対応
曖昧な要求よりも、実現可能な選択肢を示すべきです。
例:部署移動、相談機関との連携、聞き取り調査
事実とリスクを掛け算する。
会社に動いてもらうための文書構成
1. 冒頭に目的を明示する
例:「安全な職場環境の確保について相談したく…」
2. 時系列の整理は必須
読む側が状況を再現できれば、対処が早まります。
3. 曖昧表現を避ける
「多分」「だと思う」「不快でした」→NG
「〇月〇日に〇〇と言われた」→OK
Q: 感情や怒りは控えるべき?
A: はい。
逆に「冷静に分析している人物」という印象が強くなります。
証拠がなくても提出すべき理由
1. 内部通報は「事実調査のきっかけ」だから
証拠がなくても会社が調査し、裏付けをとれる場合があります。
2. 初回報告が記録として蓄積される
小さな気づきも積み重ねが重要。
状況悪化のチェックポイントにもなります。
「確実な証拠が集まるまで」は危険です。
通報後に意識すべき3つのスタンス
1. 個人攻撃ではなく職場改善の視点を持つ
人事が最も動きやすい訴え方です。
2. 記録を継続的に残す
調査が進む中で新情報が出れば追加提出。
3. 不利益があればすぐ再通報
沈黙は「容認」と取られます。
Q: 「やりすぎ」と思われませんか?
A: いいえ。
適切な手続きはあなたの社会的信用を守ります。
あなたが守るべきものは「働く権利」
パワハラは遠慮して耐える性質のものではありません。
あなたは「普通に働ける環境」を求める正当な権利があります。
その一歩が、内部通報文書です。
内部通報文書は、
✔ 事実を整理し
✔ 組織のリスクとして示し
✔ 改善策を提案する
会社が動くための戦略的ツールです。