「もう少し待って」は信じていい?返済猶予を求められた時の正しい対応と内容証明の文例

「もう少し待って」は信じていい?返済猶予を求められた時の正しい対応と内容証明の文例

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「もう少し待って」は信じていい?返済猶予を求められた時の正しい対応と内容証明の文例

お金を貸した相手から「もう少し待って」「来月には必ず返す」と言われ、つい待ってしまった――。
しかし、月日が経つうちに連絡が取れなくなったり、時効に近づいていたりするケースは少なくありません。

この記事では、「返済猶予を求められた時にどう対応すべきか」「どこまで信じていいのか」、そして「法的に有効な書面(内容証明)」の使い方を行政書士が詳しく解説します。

「もう少し待って」を安易に信じてはいけない理由

1. 法律上「待つ」ことで不利になるリスクがある

相手の言葉を信じて長期間待ってしまうと、「返済を求めた記録がない」状態が続き、時効に近づく危険があります。
貸金の返済請求権は通常5年で時効となり、それを過ぎると法的に請求ができなくなる可能性があります。

2. 「誠意ある言葉」でも実際に返すとは限らない

「必ず返す」「今は苦しいけど来月には」などの言葉は、悪意なく使われることもあります。
しかし実際には、返済能力がなく、単に時間を稼いでいるケースも多く見られます。
言葉より行動を見ることが大切です。

3. 口約束だけでは証拠が残らない

口頭で「来月返す」と言われても、それは証明できません。
LINEやメールなど、書面や記録で残すことが今後の交渉の鍵になります。

ポイント:
「もう少し待って」は相手の本音ではなく“先延ばし”のサインであることが多い。
冷静に、書面で事実を整理しておくことが大切です。

返済猶予を求められた時にすべき3つの対応ステップ

1. 「期限」と「条件」を必ず明確にする

「分かった、あと1か月だけ待つ」と言う場合は、期限を明記したメッセージを送りましょう。
例:「○月○日までに返済をお願いしたいです」など。
これにより、相手の「いつ返すか分からない」状態を防げます。

2. 返済計画を具体的に書面で確認する

相手が返済の意思を見せた場合は、返済誓約書支払い計画書を作るのが理想です。
難しい場合でも、メールやLINEで「○月に○万円返す」と明記させておくことで、証拠が残ります。

3. 約束が守られなければすぐ内容証明を

期限を過ぎても返済がない場合は、すぐに内容証明郵便を出しましょう。
早い段階で法的な意思を示すことが、後の交渉・訴訟で有利になります。

Q: 相手が「今は払えないけど絶対返す」と言っている場合も内容証明を出すべき?

A: はい。
「返す意思がある」と言っても、証拠がなければ意味がありません。
内容証明は「正式な請求をした」という客観的記録になります。

内容証明で「待つ」意思を示すのは危険

1. 「猶予を与える」文面は慎重に

内容証明に「待ちます」「猶予します」と書いてしまうと、相手がそれを根拠に支払いをさらに延ばす恐れがあります。
そのため、「一定期間内の支払いを求める」明確な表現を使うことが重要です。

2. 相手の誠意を“確認”する書き方にする

「返済の意思があるとのことですが、○月○日までにお支払いが確認できない場合は、法的措置を検討します」といった書き方が適切です。
相手に圧をかけすぎず、しかし逃げ道を作らない表現がポイントです。

3. 書面は「記録」として保管

内容証明は3部作成し、1部は自分の控えとして保管します。
この控えが、後の裁判や調停で「請求した事実」を証明する武器になります。

アドバイス:
「少し待って」と言われた時点で、内容証明の準備を始めましょう。
期限を設定した書面があるだけで、相手の態度は大きく変わります。

返済猶予を与える場合の注意点

1. 書面に「期限の延長」であることを明記

返済を猶予する場合は、「○月○日まで期限を延長する」と明記しましょう。
「待つ」とだけ書くと、相手が「まだ支払い義務がない」と誤解するおそれがあります。

2. 「次に遅れた場合の対応」も記載

再度遅延した場合には「法的手続きに移行する」と明記しておくと、相手に緊張感を与えられます。

3. 延長は1回限りにする

何度も延長を繰り返すと、時効リスクや「黙認」とみなされる危険があります。
一度限りの延長とすることを明確に伝えましょう。

Q: 猶予中に「払えない」と再び言われたらどうすれば?

A: すぐに法的手段を検討しましょう。
少額訴訟や支払督促など、裁判所を通じて請求する方法があります。

返済猶予を求められた時に使える内容証明の書き方

1. 書面の目的を明確にする

「返済期限を再確認し、誠実な対応を求める」ことを主目的に書きましょう。
感情的な言葉ではなく、事実と期限を淡々と伝えるのがポイントです。

2. 書面の基本構成

  • ① 相手の氏名・住所
  • ② 貸金の金額・貸付日
  • ③ 返済期限と未払いの現状
  • ④ 猶予後の支払い期限
  • ⑤ 支払わない場合の対応(法的措置)

3. 書面例の一部

「令和○年○月○日付でお貸しした○万円の件につき、令和○年○月○日をもって返済期限を過ぎています。
これまでのご事情を考慮し、誠意ある対応を期待して○月○日までのご返済をお願いいたします。
期日までにお支払いの確認がない場合は、法的手続きも視野に対応いたします。」

このように、柔らかくも明確に期限と対応方針を伝えるのが理想です。

注意:
「待ってあげる」とは書かない。「期日までに返済がなければ~」という表現で、必ず締めること。

相手が返済できないと言ってきた時の対処

1. 分割払いの提案を受ける場合

分割払いを受け入れるなら、返済誓約書を作成しましょう。
「○月○日から毎月○万円ずつ支払う」など具体的に書き、署名押印をもらいます。

2. 「一部だけ払う」と言われた場合

少額でも支払えば「返済意思あり」と判断されます。
その場合、時効が中断し、再び法的に請求できる期間が延びます。

3. 連絡が途絶えた場合

内容証明を送っても反応がない場合は、少額訴訟や支払督促を検討しましょう。
内容証明はそのまま「交渉努力の証拠」になります。

まとめ:
「もう少し待って」は信じても、期限を明確に。
書面を残すことで、あなたの主張は何倍も強くなります。
感情ではなく事実と書面で対応することが、最も賢明な選択です。

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参考資料・情報源

  • 民法(明治二十九年法律第八十九号) e-Gov法令検索
  • 消費者庁ウェブサイト:消費生活相談窓口のご案内 消費者庁
  • 国民生活センターウェブサイト:借金の悩み 国民生活センター
  • 金融庁ウェブサイト:投資詐欺にご注意! 金融庁
  • 日本貸金業協会:多重債務者のための相談窓口 日本貸金業協会
  • 「債務整理の基礎知識」〇〇法律事務所監修(△△出版, 2023年)

※本記事は、上記の法令、公的機関の情報、専門書籍等を参考に執筆されていますが、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。具体的な問題については、専門家にご相談ください。