「裏切りの代償」不貞慰謝料請求、いくら請求できる?相場と交渉術

裏切りの代償:不貞慰謝料請求、いくら請求できる?相場と交渉術

「裏切り」と言われる不貞行為は、法律上は「不法行為」として慰謝料請求の対象になります。しかし、どのような条件・事情で、いくら請求できるのか?それを知ることは被害者にとっても加害者(不倫相手・配偶者)にとっても非常に重要です。本記事では、不貞慰謝料の相場を実際の裁判例等から整理し、交渉の現場で実践できるテクニックを解説します。

目次

  • 不貞慰謝料とは何か?法的な位置付けと請求できる相手
  • 慰謝料の相場:裁判例から見る金額のレンジ
  • 慰謝料が増額する事情・減額する事情
  • 交渉スタート前に準備すべきこと
  • 交渉術:示談で有利に進めるための戦略
  • 契約書・示談書の注意点と法的安全性
  • よくある質問Q&A

1. 不貞慰謝料とは何か?法的な位置付けと請求できる相手

不貞慰謝料とは、既婚者が配偶者以外の異性と性的関係を持つ「不貞行為」によって、配偶者が被る精神的苦痛に対して請求される損害賠償金のことです(民法709条 不法行為等)。

請求できる対象者:

  • 不貞行為をした配偶者
  • 不倫相手(既婚/未婚を問わず、性的関係を持った相手)

2. 慰謝料の相場:裁判例から見る金額のレンジ

不貞慰謝料の相場は以下の通りです:

  • 離婚に至ったケース:200〜300万円程度
  • 離婚には至らないが夫婦関係が損なわれたケース:100〜200万円程度
  • 夫婦関係が維持され短期間の不貞:50〜100万円程度
  • 極端に悪質なケース:300万円を超えることもあり

3. 慰謝料が増額する事情・減額する事情

増額要因

  • 婚姻期間が長い
  • 不貞行為が長期間・多頻度
  • 発覚後も隠蔽や嘘を重ねた
  • 子どもや家庭生活への影響が大きい

減額要因

  • 不貞が短期間であった
  • 夫婦関係が既に破綻していた
  • 謝罪・関係解消が迅速
  • 支払能力が限定的

4. 交渉スタート前に準備すべきこと

  • 証拠確保:LINE・写真・ホテル記録など
  • 精神的被害の整理:通院・別居・生活影響
  • 請求額の幅を決定:高め提示・最低ライン設定
  • 相手の状況把握:経済力・誠実さ
  • 専門家相談:行政書士・弁護士の活用

5. 交渉術:示談で有利に進めるための戦略

  • 内容証明郵便で請求する
  • 初回提示は相場よりやや高めに設定
  • やりとりは書面主体で残す
  • 相手の態度から増減要因を分析
  • 妥協案(分割・接触禁止誓約など)を準備
  • 専門家を代理人に立てる

6. 契約書・示談書の注意点と法的安全性

示談成立後は、必ず書面化してください。

  • 金額・支払方法・期限を明記
  • 追加請求を防ぐ条項を盛り込む
  • 違約時の取り決めを加える
  • 可能なら公正証書化で強制執行も可能

7. よくある質問 Q&A

Q1:一度だけの不貞でも請求できる?
A:可能。ただし金額は低めになる傾向。

Q2:離婚しない場合の慰謝料相場は?
A:50〜100万円程度が多い。

Q3:請求された側の対応は?
A:事実確認・証拠精査・謝罪と減額交渉が重要。

Q4:慰謝料の時効は?
A:発覚から3年以内が原則。

まとめ

不貞慰謝料の金額は一律ではなく、「状況・証拠・交渉術」によって大きく変動します。適正な金額を得るには、準備と戦略が不可欠です。まずは専門家に相談し、内容証明など法的に有効な手段を活用することで、納得できる解決へと進むことができます。

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執筆者情報

執筆者の顔写真

深沢文敏

内容証明専門家・行政書士

行政書士登録番号:第14130403号

一部上場企業を退職し独立、事務所を開設。内容証明郵便の作成支援において10年以上の実績を持ち、年間200件以上の相談に対応。特に男女関係、金銭トラブル、契約解除などビジネス法務に関する内容証明作成を得意とする。素早い対応と分かりやすい説明そして的確なアドバイスで、多くの依頼者の悩みを解決に導いている。

→ 深沢文敏のプロフィール詳細を見る

参考資料・情報源

  • 民法(明治二十九年法律第八十九号)e-Gov法令検索
  • 裁判所ウェブサイト:家事事件Q&A(夫婦関係・離婚 ※不貞行為の慰謝料請求も含む)裁判所
  • 裁判所ウェブサイト:判例検索システム(「不貞行為 慰謝料 判例」などで検索)裁判所
  • 日本弁護士連合会ウェブサイト:離婚・男女問題に関する相談窓口日本弁護士連合会
  • 「離婚・男女問題の法律相談実務」〇〇弁護士 著(△△出版社, 2023年)

※本記事は、上記の法令、公的機関の情報、専門書籍等を参考に執筆されていますが、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。具体的な問題については、専門家にご相談ください。