【法改正対応】大家・借主別/賃貸借契約解除の内容証明テンプレート|家賃滞納・立ち退き・中途解約【Word対応】

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賃貸借契約解除の文例|大家・借主別テンプレート【Word版】

「家賃を数ヶ月も滞納している入居者を退去させたい」
「立ち退きを求められているが、正当な補償がないなら拒否したい」
「今の部屋を解約して、敷金を確実に返してほしい」

賃貸トラブルにおいて、口頭やLINEでのやり取りは非常に危険です。「言った言わない」の水掛け論になりやすく、裁判になった際に証拠として認められない可能性があるからです。

トラブルを未然に防ぎ、法的に有利に進めるための鉄則は、「内容証明郵便」で証拠を残すことです。
この記事では、不動産トラブルに強い行政書士が、大家さん・借主さんそれぞれの状況に合わせた「そのまま使えるテンプレート」を公開します。

この記事でわかること
  • 【大家側】家賃滞納による契約解除の書き方
  • 【大家側】更新拒絶(立ち退き)通知の書き方
  • 【借主側】中途解約と敷金返還請求の書き方
  • 相手が受け取らない場合の対処法

【ケースA:大家側】家賃滞納による契約解除(催告兼解除)

入居者が家賃を滞納している場合、いきなり「出ていけ」と言うことはできません。
法的には「〇日以内に払ってください(催告)」とし、「払わないなら解除します(停止条件付解除)」という手順を踏むのが一般的です。

テンプレート:家賃滞納の催告および契約解除通知書

通知書 令和〇年〇月〇日 被通知人(借主) 住所:〇〇県〇〇市... 氏名:〇〇 〇〇 殿 通知人(貸主) 住所:東京都〇〇区... 氏名:〇〇 〇〇 私は、貴殿に対し、以下の通り通知いたします。 貴殿とは、後記物件(以下「本件物件」といいます)について、賃貸借契約(以下「本件契約」といいます)を締結しておりますが、現在、以下の家賃が未払いとなっております。 【未払い賃料】 令和〇年〇月分 金〇〇,〇〇〇円 令和〇年〇月分 金〇〇,〇〇〇円 合計 金〇〇,〇〇〇円 つきましては、本書面到達後7日以内に、上記未払い賃料の合計額を、以下の口座へお振込みください。 【振込先】 〇〇銀行 〇〇支店 普通 1234567 口座名義 〇〇 〇〇 もし、上記期限内にお支払いが確認できない場合は、本件契約を解除いたします。 その場合、貴殿は直ちに本件物件を明け渡してください。 【物件の表示】 所在地:〇〇県〇〇市... 名称:メゾン〇〇 101号室 以上
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行政書士からのアドバイス

信頼関係の破壊と認められるには、一般的に「3ヶ月分以上」の滞納が必要です。1ヶ月程度の遅れで解除通知を送ると、かえってトラブルになる可能性があります。

【ケースB:大家側】正当事由に基づく更新拒絶(立ち退き)

契約期間満了のタイミングで、貸主側の都合(建物の老朽化や自己使用など)により契約を終了させたい場合です。
借地借家法により、貸主からの解約には「正当事由」「6ヶ月〜1年前の予告」が必須です。

テンプレート:賃貸借契約を更新しない通知書

通知書 令和〇年〇月〇日 被通知人(借主) 住所:〇〇県〇〇市... 氏名:〇〇 〇〇 殿 通知人(貸主) 住所:東京都〇〇区... 氏名:〇〇 〇〇 私は、貴殿に対し、以下の通り通知いたします。 貴殿との間で締結している、後記物件(以下「本件物件」といいます)にかかる賃貸借契約は、令和〇年〇月〇日をもって期間満了となります。 本件物件は建築から〇〇年が経過し、老朽化による倒壊の危険性が高まっているため、大規模な修繕または取り壊しが必要な状態です。 つきましては、次回の契約更新を行わず、期間満了をもって本契約を終了とさせていただきます。 つきましては、契約満了日までに本件物件を明け渡していただきますようお願いいたします。 なお、立ち退きに関する具体的な条件(移転費用等)については、誠意を持って協議させていただく所存です。 【物件の表示】 所在地:〇〇県〇〇市... 名称:ハイツ〇〇 202号室 以上
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※要注意

「更新拒絶」は通知を送れば終わりではありません。借主が住み続ける場合、遅滞なく異議を述べないと「法定更新」されてしまうリスクがあります。立ち退き交渉は難航しやすいため、早めに専門家へ相談することをお勧めします。

【ケースC:借主側】中途解約通知・敷金返還請求

入居者が契約期間の途中で退去する場合の通知です。
電話連絡だけでなく書面を送ることで、「退去予告日」を確定させ、余分な日割り家賃の発生を防ぎます。また、敷金返還先を明記することでスムーズな返金を促します。

テンプレート:賃貸借契約解約通知書

解約通知書 令和〇年〇月〇日 被通知人(貸主/管理会社) 住所:〇〇県〇〇市... 氏名:〇〇不動産管理 株式会社 御中 通知人(借主) 住所:東京都〇〇区...(現住所) 氏名:〇〇 〇〇 私は、現在居住している下記物件について、賃貸借契約書第〇条に基づき、本通知をもって解約いたします。 【対象物件】 所在地:〇〇県〇〇市... 名称:コーポ〇〇 305号室 【明け渡し予定日(退去日)】 令和〇年〇月〇日 なお、預け入れている敷金については、原状回復費用等の精算後、以下の口座へ返還してください。 【敷金返還先】 〇〇銀行 〇〇支店 普通 8765432 口座名義 〇〇 〇〇 退去時の立ち会い希望日時については、追ってご連絡いたします。 以上
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失敗しないための重要ポイント:行政書士の視点

テンプレートを使って内容証明を送る際、形式的なミスで効力を失わないよう、以下の点に注意してください。

1. 「到達日」が効力発生の基準

民法上、意思表示は相手に「到達した時」に効力を生じます(民法97条1項)。
退去予告が「1ヶ月前まで」となっている場合、退去したい日の1ヶ月前までに相手の手元に届いている必要があります。郵便事情を考慮し、余裕を持って発送しましょう。

2. 相手が不在で受け取らない場合

内容証明郵便は手渡しのため、相手が不在(または居留守)だと持ち戻りになり、保管期間を過ぎると差出人に返送されてしまいます。
この場合、法的には「到達していない」とみなされるリスクがあります。

プロの裏ワザ:特定記録郵便の併用

相手が受け取らない可能性がある場合、内容証明とは別に、普通郵便と同様にポスト投函される「特定記録郵便」でも同じ文面を送っておく手法が有効です。
これにより、「内容は見ていないかもしれないが、通知は間違いなくポストに入った(=社会通念上、到達した)」と主張しやすくなります。

3. 自力での解決が難しいケース

  • 家賃滞納者が連絡を無視し続けている
  • 大家さんが法外な立ち退き料ゼロで退去を迫ってくる
  • 敷金を全額償却すると言われ、納得できない

このような場合、ご自身の名前で通知を送っても「どうせ素人だ」と軽く見られ、無視されることが少なくありません。

まとめ:こじれそうな時は「行政書士名義」が効く

賃貸トラブルは、生活の基盤である「住まい」に関わるため、双方が感情的になりやすい問題です。
ご自身で内容証明を作成・送付することも可能ですが、もし相手が手ごわい場合や、確実に法的効力を持たせたい場合は、専門家の力を借りることも検討してください。

行政書士名義で内容証明を送付するメリット:

  • 相手に「法的手続きの準備がある」という本気度が伝わる
  • 感情的な対立を避け、事務的に契約解除を進められる
  • 万が一裁判になった際も、強力な証拠資料となる

当事務所では、大家さん・借主さん双方の立場から、最適な通知書の作成をサポートしています。
「自分で送って失敗したくない」「相手と直接話したくない」という方は、まずは無料相談をご活用ください。

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執筆者情報

執筆者の顔写真

深沢文敏

内容証明専門家・行政書士

行政書士登録番号:第14130403号

一部上場企業を退職し独立、事務所を開設。内容証明郵便の作成支援において10年以上の実績を持ち、年間200件以上の相談に対応。特に男女関係、金銭トラブル、契約解除などビジネス法務に関する内容証明作成を得意とする。素早い対応と分かりやすい説明そして的確なアドバイスで、多くの依頼者の悩みを解決に導いている。

→ 深沢文敏のプロフィール詳細を見る

参考資料・情報源

  • 民法(明治二十九年法律第八十九号)※賃貸借契約、債務不履行、解除、損害賠償に関する規定 e-Gov法令検索
  • 借地借家法(平成三年法律第九十号)※建物賃貸借の解約等に関する規定 e-Gov法令検索
  • 国土交通省:賃貸借契約に関するガイドライン 国土交通省
  • 裁判所ウェブサイト:民事事件の手続(建物明渡訴訟、少額訴訟、支払督促等) 裁判所
  • 法務省ウェブサイト(民法改正情報、不動産登記に関する情報) 法務省

※本記事は、上記の法令、公的機関の情報、専門書籍等を参考に執筆されていますが、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。具体的な問題については、専門家にご相談ください。

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