婚約中に購入した「ペアリングの費用」は慰謝料に含められる?内容証明の書き方
婚約中に購入したペアリング(ペアの指輪)は、結婚に向けた大切な象徴ですが、破談になった場合には「その費用はどうなるのか?」という問題が浮上します。特に、結婚を前提にした支出が破局によって無駄になったとき、それを慰謝料請求に含められるのかどうかは、多くの人が悩むテーマです。この記事では、民法上の考え方、判例・実務での取り扱い、内容証明での書き方を整理して解説します。
婚約中のペアリング費用と法的性質
婚約指輪とペアリングの違い
一般的に「婚約指輪」は婚約の記念として男性から女性に贈られる高額な指輪を指します。一方「ペアリング」は、婚約者同士が一緒に身に着けるために共同で購入するケースが多く、金額も比較的リーズナブルです。この違いが、破談後の取り扱いにも影響します。
民法上の位置づけ
婚約中のペアリングは「贈与」か「共同購入」のいずれかとして扱われます。共同で費用を出した場合には、解消時に精算が必要になる可能性があります。完全に一方が費用を負担した場合でも、破談の責任がどちらにあるかで返還義務や慰謝料算定に影響を及ぼします。
ペアリングは「結婚生活を前提にした共同投資」とも言えるため、破談になった場合には「費用負担の公平性」と「責任の所在」が争点になります。
慰謝料に含められるケースと含められないケース
慰謝料に含められるケース
- 一方的な婚約破棄によって他方が経済的損失を被った場合
- 破談の原因が不貞行為・暴力・裏切りなど、明らかに有責行為に基づく場合
- ペアリング費用を全額一方が負担しており、その支出が無駄になった場合
慰謝料に含められないケース
- 双方合意の上で婚約を解消した場合
- 破談の責任がどちらにもない場合(価値観の不一致など)
- ペアリングが実際に相手の手元に残っており、返還で調整できる場合
過去の裁判例にみる考え方
判例の多くは「ペアリング自体の返還」で解決する場合が多いですが、返還が不可能な場合や一方が全額負担している場合は、その費用相当額が損害として認められるケースもあります。ただし、単純に「すべて慰謝料に含まれる」とは限らず、破談の原因や負担割合が重視されます。
内容証明で請求する際の注意点
請求できる項目を明確に区分する
内容証明では「慰謝料請求」と「費用返還請求」を区別して記載することが重要です。両者を混同すると、相手からの反論材料となる可能性があります。
具体的な区分の仕方
- 慰謝料:精神的苦痛に対する損害賠償請求
- 返還請求:ペアリング購入費用の清算
立証に必要な資料
請求を裏付けるためには以下の資料が有効です。
- 購入時の領収書やカード明細
- 誰が費用を負担したかを示す証拠
- 婚約関係を示す写真やメッセージ
Q:慰謝料に含める場合と返還請求にする場合、どちらが有利ですか?
A:破談原因が相手にある場合は慰謝料請求に含めた方が請求総額が大きくなる可能性があります。ただし、返還請求の方が認められやすい場合もあるため、状況に応じて併用するのが実務的です。
トラブル防止のための工夫
購入時の取り決めを残す
婚約時の感情的な勢いで購入するのではなく、費用負担や破談時の扱いを簡単にメモやLINEで残しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。
返還の有無を早めに整理する
破談後に「指輪を返す返さない」で揉めると感情的な対立が長期化します。冷静に財産関係を整理し、必要であれば第三者を通じて交渉しましょう。
まとめ
婚約中に購入したペアリングの費用は、状況によって慰謝料に含められる場合と、単純に返還請求として処理される場合があります。大切なのは「破談の責任」と「費用負担の実態」を明確にすることです。請求を行う際は、内容証明で法的に有効な形で主張を行い、証拠を添えて説得力を高めましょう。トラブルを防ぎたい場合は、購入時から取り決めを残すことが最善策です。