同僚や部下からの「いじめ・嫌がらせ」を今すぐ止めさせる!内容証明の効力と書き方

同僚や部下からの「いじめ・嫌がらせ」を今すぐ止めさせる!内容証明の効力と書き方
「直属の上司ではなく、同じ部署の同僚や部下から攻撃されている」――。
こうしたケースでは、相手が立場的に下でも、精神的被害は深刻です。
しかも会社は「同僚間のトラブル」として軽視しがち。
そんな時に有効なのが、法的証拠を残す“内容証明郵便”による正式通知です。
この記事では、内部通報では動かなかった職場を動かすための
戦略的な内容証明の使い方を行政書士が解説します。
同僚・部下からの嫌がらせが起こる背景
1. 職場の「見えない上下関係」
立場上は同列でも、実務上の影響力や社歴の長さが優位に働く職場では、
非公式な力関係がいじめの温床になります。
2. 組織が“静かなトラブル”を放置している
上司が関与していないため、会社が深刻さを認識していないケースも多いです。
この場合、会社の無関心=放置責任が問われる可能性もあります。
3. 「個人攻撃」から「集団排除」へ拡大する危険
職場いじめの特徴は、最初は1人の言動がきっかけでも、
周囲が同調して孤立を強めていく点です。早期の対処が不可欠です。
いじめが上司発ではなくても、
企業には「職場環境配慮義務(労働契約法5条)」があります。
「内容証明」で職場が動く理由
1. 会社が「放置できない記録」になる
内容証明郵便は、「何を」「いつ」「誰が」送ったかを郵便局が証明します。
会社がそれを受け取った時点で、正式な“法的通報”として記録に残ります。
2. 人事部・法務部が介入しやすくなる
感情的な訴えではなく、内容証明という形式をとることで、
人事や法務の担当部署が「対応案件」として扱いやすくなります。
3. 相手本人にも心理的プレッシャーを与えられる
「法的に記録が残る書面」が届くことで、
加害行為を続けるリスクを本人が自覚します。
「法的に動く意思がある」と示すことで、
加害者・会社の双方に現実的な“ブレーキ”をかけることができます。
内容証明を送る前に整理すべき3ステップ
① 被害の整理(事実ベース)
・いつから始まったか ・誰がどのような言動をしたか ・周囲の反応 これを簡潔にまとめます。
② 証拠の確保
メール・チャット・メモなど、発言の証拠となるものを保存。
特に社内ツールでの書き込みは退職後に消えることがあるため、早めにバックアップを。
③ 目的を明確にする
内容証明を送る目的は「懲らしめる」ではなく、
「行為の停止」と「安全な職場の回復」にあります。
Q: 弁護士でなければ送れないの?
A: いいえ。
行政書士も内容証明を代理作成できます。
専門家のチェックを入れると、法的整合性が高まります。
会社宛に送る場合と、相手個人宛に送る場合の違い
1. 会社宛に送る場合
企業の使用者責任(民法715条)を前提とし、
「職場環境の改善を求める通報」として送付します。
会社は調査義務が生じます。
2. 加害者本人宛に送る場合
法的な警告として送る形式です。
名誉毀損・業務妨害・人格権侵害に基づく民事請求を視野に入れた対応となります。
3. 両方に送るケース
再発防止・職場改善を目的とするなら、
会社+本人の両方向に送ることで最も効果的です。
会社宛:組織対応を促す
本人宛:行為の抑止を促す
両方宛:再発防止の効果が高い
内容証明の効果を最大化する書き方
1. 感情的表現を排除する
「許せない」「腹が立つ」はNG。
「業務への支障が生じている」と書く方が有効です。
2. 被害の“影響範囲”を明示
あなた個人の問題ではなく、
チーム全体や業務品質への影響を具体的に示しましょう。
3. 行動の“期限”を設定する
「〇月〇日までに改善が見られない場合は、
労働局への報告を検討します。」
――この一文で、会社は動かざるを得なくなります。
Q: 相手が逆ギレしてきたら?
A: 返信を求めず、記録を残しておくだけでOK。
反応そのものが“証拠”になります。
内容証明後の対応フロー
STEP1:会社の対応を見極める
1〜2週間以内に調査・聞き取りが始まらない場合、
上層部または外部相談機関へ。
STEP2:再発防止策を確認
形式的な謝罪で終わらず、職場環境が改善されているかを確認。
定期的に記録を続けましょう。
STEP3:改善がない場合の次の手段
- 労働局・労基署への相談
- 民事調停・損害賠償請求
- 再度の内容証明送付(第2通)
社内いじめは「我慢」では終わりません。
内容証明は、職場に“現実的な責任”を突きつける最強のツールです。
感情ではなく、事実と期限で動かす――
それがあなたを守る最短ルートです。