子どもがいない夫婦は相続の“分かれ道”に直面する
一見、夫婦二人だけの静かな暮らし。
しかし、「子がいない夫婦の相続」には見えないリスクが潜んでいます。
特に問題となるのが、どちらか一方が亡くなったときに残された配偶者が安心して暮らし続けられるかという点です。
法定相続|子がいないと“兄弟姉妹”が相続人になる
民法では、配偶者は常に相続人ですが、子がいない場合は兄弟姉妹が法定相続人として加わります。
相続割合は、配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1が原則です(複数兄弟がいると均等に分け合います)。
つまり、どちらかが亡くなると、配偶者の財産が兄弟姉妹に分散されてしまうのです。
よくあるトラブル|義兄弟姉妹からの“権利主張”
夫が亡くなったあと、妻がそのまま家に住み続けようとしていたら…
「その家は兄の財産。自分たちの取り分もある」と夫の兄弟姉妹が権利を主張してきた例があります。
話し合いがこじれ、家を売却して分けるしかない状況に追い込まれることも。
子なし夫婦に必要な3つの備え
- ① 遺言書の作成:配偶者にすべて相続させる意思表示を明記
- ② 生命保険の活用:死亡保険金は遺産分割の対象外で直接渡せる
- ③ 家族信託・死後事務契約:高齢・介護・死後対応の安心を確保
とくに遺言書は配偶者の生活を守る“最後の盾”ともいえる存在です。
「私たちは関係ない」と思っていませんか?
「仲がいいから揉めるはずがない」──そう考えていた夫婦ほど、残された片方が苦労するケースがあります。
相続の問題は“感情”ではなく法律で決まる世界です。
相続人との関係が疎遠、付き合いがない…だからこそ事前の備えが重要なのです。
まとめ|「子がいない」という前提があるからこそ
子がいない夫婦は、遺言・信託・保険などをうまく活用すれば、安心して老後を迎えるための準備ができます。
“今仲が良い”ことと、“法的に守られる”ことは別問題。
相手を大切に思うからこそ、しっかりとした備えをしておきましょう。