ブラック相続シリーズ

突然届いた通知書…「所有山林の管理について」

ある日、Aさんのもとに市役所から届いた一通の通知書。そこには「所有山林の管理について」と書かれていました。Aさんには山なんて一切心当たりがありません。ですが書類にはAさんの名前がしっかりと記載されています。

父からの相続で“知らぬ間に”名義が自分に

調べてみると、その山林は数年前に亡くなった父が所有していたもので、相続手続きを通じて自動的に名義がAさんに移っていたことが判明しました。土地や建物などの不動産は、登記を変更しなくても法律上は「相続人のもの」となります。

山林を放置するとどうなる?

山林は見た目には静かですが、倒木・土砂崩れ・山火事・不法投棄など、管理責任が問われるリスクが潜んでいます。もし隣地や通行人に損害を与えた場合、損害賠償責任を負うことも。

また、市町村から管理不十分と判断されると、行政指導や注意勧告を受けることもあります。

売れない・活用できない「負動産」としての山林

山林は都市部の不動産とは異なり、買い手がつかない・活用が難しい・手入れに手間がかかるといった理由から「負動産」と呼ばれることも。たとえ固定資産税が少額でも、数十年にわたり管理義務が続くのは大きな負担です。

放棄できる?相続放棄の期限と注意点

相続放棄は、相続開始(被相続人が亡くなった時)を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。それを過ぎると「単純承認(すべてを相続する意思)」とみなされてしまいます。

ただし、山林の存在を最近知ったなどの特別事情がある場合、期限後でも受理される可能性があります。専門家に早めに相談することが重要です。

所有権の放棄はできる?

相続放棄を逃した後に「所有権だけを手放したい」と考える人も多いですが、日本では一方的に土地の所有権を放棄する制度は原則としてありません

ただし、自治体に寄付する・管理移転の提案を行う・相続登記を経て第三者に譲渡するなど、例外的な手段はあります。いずれもハードルが高いため、専門家のサポートが不可欠です。

まとめ|山林相続は「見えない負担」が大きい

相続した山林を放置すると、思わぬ責任や損害を背負うリスクがあります。「名義を変えていないから自分には関係ない」と考えるのは危険です。

「山なんていらない」「何もしてないのに通知が来た」…そんな方こそ、今すぐ専門家へご相談ください。相続放棄も期限があります。行動が遅れるほど選択肢は減っていきます。