「自分で書ける!」内容証明の出し方と料金が一気にわかる完全ガイド
「内容証明を出したいけれど、できれば自分でやってみたい」「郵便局で断られたらどうしよう…」 そんな不安をなくすために、自分で内容証明を準備して、郵便局から確実に差し出すまでの流れと費用・注意点を、実務目線で整理しました。
専門用語はできるだけ噛み砕いて、よくある失敗を防ぐポイントを中心に解説しています。
内容証明郵便とは?基本のイメージと効力
内容証明郵便は、「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を日本郵便が証明してくれる制度です。 主な目的は次の2つです。
- 相手に対して正式な意思表示(請求・催告・契約解除など)を行うこと
- 後でトラブルになったときに「この内容で、この日に送った」という証拠を残すこと
内容証明を出したからといって、自動的にお金が返ってきたり、契約が必ず解除されたりするわけではありません。 しかし、「通知義務・催告義務を果たした」ことの証拠として、裁判や交渉で非常に強い意味を持ちます。
専門家に頼まず、自分で出しても良い?
内容証明は、弁護士や行政書士に依頼しなければ出せないものではありません。 形式とルールを守ればご自身で作成・差出しも可能です。ただし、紛争性が高い案件や金額が大きい場合は、専門家に相談した上で進める方が安心です。
準備しておきたいもの(チェックリスト)
郵便局へ行く前に、次のものを揃えておきましょう。
- 内容証明にする文書(本文):A4推奨・同一内容のものを3通
- 差出人・受取人の正確な住所・氏名(表記ゆれに注意)
- 本人確認書類(窓口で求められる場合に備えて)
- 料金(内容証明+書留などのオプション)を支払うための現金等
- 封筒(郵便局で購入も可能)
写し3通は「完全に同一」であることが必須
内容証明は、同じ内容の文書を3通用意して提出します(受取人用・差出人用・郵便局保管用)。 改行位置や句読点、全角・半角の違いまでチェックされるため、Wordで作成したらPDF化して印刷し、3通とも完全に一致しているか確認しておきましょう。
書き方の基本(形式面のルール)
文例そのものは省略しますが、形式上のポイントは押さえておく必要があります。
1)宛先・差出人の書き方
氏名・住所は、公的書類に近い形で正確に書きます。 会社宛の場合は「株式会社◯◯」「代表取締役 ◯◯ ◯◯ 様」など、正式名称と敬称を間違えないようにしてください。
2)本文は「目的 → 事実 → 要求 → 期限」の順で
感情ではなく、事実と要求を整理して書きます。おすすめの流れは次のとおりです。
- 何についての通知・請求なのか(目的)
- いつ・誰と・どんな約束や出来事があったのか(事実)
- 何をしてほしいのか(支払・解除・是正などの要求)
- いつまでに対応してほしいのか(具体的な期限)
「とにかく許せない」「二度と関わりたくない」といった感情的な文章は逆効果になることもあります。 読む人(裁判官や第三者)にも伝わるよう、誰が読んでもわかる日本語を意識しましょう。
3)署名と押印
差出人本人の署名と押印は、原則として入れておくのが安全です。 法人なら、会社名・役職名・代表者名を記載し、社判(角印)を押すケースが一般的です。
郵便局での差出し手順(当日の流れ)
- 窓口の営業時間・取扱い確認
すべての郵便局で内容証明を扱っているわけではありません。事前にホームページ等で確認しておくと安心です。 - 同一文書3通を持参
1文字でも違いがあると差し戻しになる場合があります。出発前に再チェックしておきましょう。 - 窓口で「内容証明で差し出したい」と伝える
局員が専用の記録用紙に必要事項を記入し、確認してくれます。 - 書留・配達証明・速達などのオプションを選ぶ
どこまで証拠を残したいか(追跡・到達の証明など)によって組み合わせます。 - 料金を支払い、受領証を受け取る
受領証には追跡番号などが記載されているので、必ず保管してください。
窓口でよくある指摘・差し戻し例
- 3通の文書の行数・文字数が微妙に違う → 「同一文書」と見なされず修正を求められる
- 署名・押印がない → 法的なトラブルを避けるため、押印を勧められることが多い
- 封筒の入れ方・封緘タイミングが不適切 → 窓口指示に従って入れ直し
内容証明の料金イメージと内訳
正確な料金は毎年改定される可能性があるため、最終的には郵便局の最新情報を確認してください。 ここでは代表的な内訳イメージを紹介します。
| 項目 | 内容 | イメージ |
|---|---|---|
| 内容証明の手数料 | 「内容」を証明してもらうための基本部分 | 文書の枚数・文字数などで変動 |
| 書留 | 追跡・受領記録を残すためのサービス | 数百円〜 |
| 配達証明 | 相手に届いた事実(到達日)を後から証明できる | 追加料金あり |
| 速達 | 通常より早く届けたい場合に追加 | 数百円〜 |
よく使われるオプションサービス
配達証明
「いつ相手に届いたのか」を後で証明したい場合は、配達証明を付けるのがおすすめです。 訴訟で「到達日」が重要になる場面では特に意味があります。
一般書留
郵便物の引渡しを記録し、途中の紛失などに対して一定の補償もあるサービスです。 内容証明は通常、何らかの書留と組み合わせて利用します。
速達
「とにかく早く送りたい」「期日まであまり時間がない」という場合に選びます。 到達日を早めることで、相手の対応期限も早められることがあります。
発送後の管理と保管のコツ
- 受領証・配達証明書はスマホで撮影し、データと原本の両方を保管
- 「いつ」「どこに」「どの内容を送ったか」をメモやExcel等で一覧化しておく
- 追跡番号で配達状況を確認し、到達日もメモしておく
よくある失敗と回避策
表記ゆれ(名前・住所)が原因で争いになる
受取人の氏名・住所は、できるだけ住民票や登記情報などの公的記載に合わせましょう。 株式会社/(株) の違いなど、細かい部分が後で争点になることもあります。
3通の文書が微妙に違っていた
印刷設定の違いで1行だけ改行位置がずれてしまう…というミスもよくあります。 最後に3通を横に並べて、行数・改行位置・ページ数を目視で確認しておきましょう。
期限をぼかした結果、相手に言い逃れを許してしまう
「なるべく早く」「至急」ではなく、「◯年◯月◯日までに」と、日付で期限を切ることで後々の主張が明確になります。
Q&A:自分で内容証明を出すときの疑問
Q:内容証明は必ず専門家に依頼した方が良いですか?
A:ケースによります。訴訟になりそうな事案や高額のトラブルは、弁護士・行政書士に相談した方が安全です。 一方で、比較的シンプルな請求や催告であれば、この記事を参考にご自身で差し出すことも十分可能です。
Q:書留や配達証明は付けなくてもいいですか?
A:制度上は必須ではありませんが、「届いた・届いていない」の争いを防ぐためには付けた方が安心です。 特に重要な通知の場合は、配達証明の利用をおすすめします。
Q:メールやLINEでの通知だけではダメですか?
A:全くの無効というわけではありませんが、メールやLINEは「内容」と「到達」の証明力が弱く、 重要な場面では内容証明郵便での通知が推奨されます。 逆に、メール・LINEのやり取りを内容証明に整理して載せる、という使い方もあります。
差出し当日の最終チェックリスト
- 同一内容の文書が3通、すべて完全に一致している
- 署名・押印を忘れていない
- 宛先・差出人の表記が正確(公的記載と揃っている)
- 書留・配達証明・速達などのオプション方針を決めている
- 受領証や配達証明を受け取り、すぐにコピーや写真を残す準備ができている
内容証明は、「送った・送っていない」「言った・言っていない」という争いを防ぐための強力なツールです。 形式とルールを守れば、自分で準備して差し出すことも十分可能です。 ただし、紛争が大きくなりそうな案件では、弁護士や行政書士に相談しながら進めることで、 後悔のない形で権利行使ができます。
※本記事は一般的な解説を目的としたものであり、個別の案件に対する法的アドバイスではありません。 具体的なトラブル・高額の紛争については、弁護士・行政書士などの専門家にご相談ください。

