ブラック相続シリーズ

突然の通知書…「農地を相続したようです」
Aさんはある日、市役所から「農地の名義変更について」の通知を受け取ります。心当たりはありませんでしたが、父が所有していた耕作放棄地を自分が相続していたことが判明。雑草だらけの土地に戸惑いながら、「売れるのか?貸せるのか?処分できるのか?」と悩み始めます。
なぜ農地は売れない?|農地法の制限とは
農地は、農地法という法律により自由な売買や賃貸ができません。売却するには、買主が農業従事者であることや、農業委員会の許可が必要です。
つまり、一般人が買うことはまず不可能で、相続した本人も「農家でなければ活用できない」土地なのです。
貸すのも難しい|耕作放棄地は敬遠される
「誰かに貸せばいい」と思っても、荒れ果てた農地は借り手が付きにくく、農地としての価値がほとんどない場合もあります。手入れも必要で、放置すれば近隣に迷惑をかける恐れも。
結果的に「売れない・貸せない・使えない」の三重苦になり、ただ税金と責任だけが残るのです。
寄付もできない?自治体への申し出は簡単ではない
「いらないなら寄付すればいい」と考える方も多いですが、自治体は管理義務があるため簡単には引き取ってくれません。受け入れ条件が厳しく、実際には断られるケースも少なくありません。
放置すると損害賠償リスクも|倒木・火災・不法投棄
放置された農地は、不法投棄・雑草の繁殖・倒木・火災などの原因となり、管理責任が問われることもあります。近隣に迷惑をかければ損害賠償請求される恐れも。
また、相続人が複数いる場合は管理責任も共有されるため、放置することで親族間トラブルに発展するリスクもあります。
現実的な対処法|農地転用・売却・相続放棄
解決策としては以下のような方法があります:
- 農地を宅地などに転用(農地転用許可が必要)
- 農業者に売却・賃貸する(農業委員会の許可が必要)
- 相続放棄(相続開始を知った日から3か月以内)
いずれも手続きが複雑なため、早めに専門家へ相談することが重要です。
まとめ|農地相続は“放置しない”が鉄則
相続した農地が使えない場合でも、そのまま放置すると大きなリスクを抱えることになります。「よくわからないからそのまま」は、後悔を生む一番の原因です。
今後の処分・放棄・有効活用などの道を探るためにも、まずは専門家への相談から始めましょう。
